ある日、ささいなことで神野山の天狗と青葉山の天狗が喧嘩となり、石の投げ合いを始めました。特に青葉山の天狗の方が、石や岩、土、草など手あたりしだいに投げつけてきます。神野山の天狗は、山がもともとはげ山でしたので、投げるものがなくなり、青葉山から投げつけられる岩や土がどんどん積もっていきます。そこで神野山の天狗は弱そうなふりをして、相手のやりたい放題をそのままにしておきましたから、神野山はいつしか、木や草、岩や石などがたくさんある、自然が豊かな山へと変わったのです。一方の青葉山は、投げるものがなくなって、ついにははげ山になってしまいました。その青葉山から飛んできた岩が川のように並んだ斜面が、山辺郡山添村大塩にある鍋倉渓と言われています。