第7回山寺おしょうのお悩み相談|賃貸住宅でゴミ当番をしない人がいます

【お悩み】賃貸住宅でゴミ当番をしない人がいます

定期的にゴミ収集の場所の掃除当番が順番にやってくるのですが、まったくしない家があって平気で道具だけ回してきます。何か納得できないモヤモヤとした日々を過ごしております。

(奈良市 M)

掃除は自分のための陰徳です

汚いと感じることは素晴らしい感覚です。あなたはきっと掃除することを教えてもらい、きれいが気持ち良いと理解できる素晴らしい人だと思います。

お坊さんの修行でも最初に教えられるのは明けても暮れても掃除です。するとほこりや汚れ、細かなことに気づくようになります。中には物の見え方が変わるなど、掃除をすることで、悟りを開いたお坊さんがいるくらいです!

なぜ掃除するか? もちろん仏様神様をきれいなところにお迎えするためです。相手を大切に思う心を表したものです。

日本人は元来小さな時からその礼儀を教えてもらっているからこそ、世界に類を見ないほどきれいな街と称賛される国になったのです。そこには日本独特の文化・宗教があるからです。今の人たちはその心を知らない、教えてもらっていない人が多く、掃除をしてきれいにすると、気持ちが良い人が喜ぶ、そんなことを知らない人がたくさんいます。

そこに規則、当番制を持ち込んでも、きれいにする喜びを知らない、仏神や先祖を大切にする気持ちを持たない人にいくら言ってもうまくいかないのです。逆に良い心を知っている人だけが嫌な思いをすることになるのです。
こんなことは2500年前からあります。人が集まると不快なことが起きる、わかりきったことなのです。そのことに憂いを持ったお釈迦様は戒律を作り、その規則だけではなく、徳を積むことをたくさん説いています。

徳を積むとは、人のために何をするかという、人を幸せにする努力です。スポーツで世界一になるなどの活躍も、喜び幸せになる人が存在すればこれは徳を積んでいることになります。これを陽徳と言います。対して掃除するとか、ご先祖様、神様、仏様を祀る、仕事炊事、洗濯など周りの人のためにしていることも徳を積んでいる行為です。これを陰徳と言います。

この陰徳を積むことは目に見えた対価がないのですが、家族の健康や誇り、存在を守り、人が生きていく中で一番大切で尊い行いだと仏教では説いています。その功徳は生まれ変わりが良くなる老後の生活が豊かになる人としての価値が上がる子孫が繁栄すると言われています。世界の成功した人たちのほとんどがこのことを説いています。世界経済にも深く影響を与えているのです。

夫がトイレを汚すのにきれいにしてくれないとイライラして嘆く女性にこの陰徳の話をし、掃除をすることは自分のためだから一生懸命すると良いことがあると教えました。彼女は六根清浄をつぶやきながらこれを実践しました。すると夫も優しくなり、家族からもありがとうと言われ、家族が仲良くなったそうです。

相手の嫌なこと、できないことを指摘しイライラするのではなく、この人は知らない人だ、キレイを気持ちいいと理解できないかわいそうな人だとあわれむ気持ちを持ち、その人に代わってきれいにすることをしてください。無理な当番性より徳を積む喜びを教えてください。最終的には集合住宅に住むより少し田舎の一軒家にでも住んでください。すべて解決しますよ。

回答者

大塚 知明 師

真言宗醍醐派妙法寺(大師山寺)住職
当山派修験大先達
ならどっとFM78.4MHzにて「山寺おしょうのラジオ法話」を放送中!
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