第2回山寺おしょうのお悩み相談|定年後、先を考えると不安になります

【お悩み】定年後、先を考えると不安になります

64歳会社員です。もうすぐ定年を迎えますが、まだ働けると思っています。でも次の仕事が見つかるかどうか、やりたい仕事が見つからないのではと思うととてもゆううつになります。  手に職もなく何となく会社に置いてもらってきたので、この先不安で仕方ありません。何を考えても不安な気持ちでどうしたらいいでしょうか。

(奈良市 T・S)

中道を生きよう。あなたは今、幸せを感じていますか?

お釈迦様の言葉に「中道を生きる」とあります。例えば裕福すぎるとそれを守るためにお金がかかり、人と出会っても『この人は私のお金目当てで近づいてくるのでは』と不安になり人を遠ざけたり疑心暗鬼になったりします。貧乏すぎても日々食べるために人の物を盗ったり借金をしたり、不安になって逃げたりと、ドンドン疑心暗鬼になります。

そこで必要なのは今、自分自身がどうかと言う問いに心を寄せることです。衣、食、住において満足できているのか? 洗濯した服を着られているか? おなかをほどよく満たせているか? 住む所はあるか? 借金はしていないか? 人に迷惑をかけていないか?

そうして、裕福でもなく貧乏でもないと思えたならそれは良い人生を歩いていると言えるでしょう。貧乏と思うなら一生懸命仕事をして稼いだらいいのです。裕福なら他人に施しをする、そのお金で野菜を作り、近所の人に配るようなことをするときっと感謝される人になるでしょう。

これが中道を生きるということであり、不安なく生きることなのです。中道とは人それぞれです。価値観や感覚の違いと同じなので、他人と比べないようにしましょう。

人は不安に思うことからイライラしたり、間違ったことを言ったり、他人と比べたり、人にだまされたり、心の病気になったりします。そんな時こそ「私は私の中道を生きているか」と冷静に自分のことを分析し、近くの神社やお寺に行って幸せを願ったり健康を祈ったりして自分自身を見直しましょう。

仕事だけにこだわらなくても、きっとあなたにはできることがあると思います。毎日、家や家の周りを掃除してもよいでしょう。『おはようございます』『こんにちは』と挨拶するのもよいでしょう。勇気と自信と、そこに少しの努力があれば、必ず人に求められ感謝され、健康で長生きできる良い人生が歩めます。

人生60歳で男女共に厄年、生まれ変わる歳と言います。ご先祖様に感謝して、自分にとって中道とはどこか見つめ直し、自分にできることを少し努力して進んでください。
新しいことに挑戦するのも良いでしょう。健康で元気なら何でもできます。たとえ病気や介護される立場にあったとしても、あなたが長生きしてくれていることを誰かが必ずありがたいと思っています。

中道を生きていれば大丈夫。『大丈夫、大丈夫』と口に出して、自信と勇気と少しの努力を持って、周りの幸せを考えながら自分にできることを一歩一歩進めましょう。

回答者

大塚 知明 師

真言宗醍醐派妙法寺(大師山寺)住職
当山派修験大先達

ならどっとFM78.4MHzにて「山寺おしょうのラジオ法話」を放送中!
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