メディカル最前線vol.76 北和地区で初の人工膝関節手術支援ロボット導入 メディカル最前線 2025.3.25 やーさん ロボットとコンピューターのサポートでより高精度な手術! 高齢化社会を反映し、変形性膝関節症で人工関節手術を受ける人が年々増えている。人工関節手術における最小侵襲手術(MIS)で実績を積む西の京病院・人工関節センターは、2024年12月に北和地区(※)で初の人工膝関節手術支援ロボットを導入。ロボットに期待できることをセンター長の斉藤昌彦医師に伺った。 ※ここでいう北和地区は、奈良県の5つの二次保健医療圏のうちの奈良保健医療圏のこと 人工関節センター長 斉藤 昌彦 医師/SAITOH MASAHIKO 先生の健康法 中~高~大学でやっていたバスケットボールをずっと続けています(競技歴46年)。 そして現在でも様々な大会に選手として出場しています ■変形性膝関節症 膝関節の痛みや変形の原因は、炎症・腫瘍・外傷によるものなど様々。膝の痛みを引き起こす原因の主な疾患が変形性膝関節症だ。 膝関節の軟骨が徐々にすり減り、加齢に伴い軟骨の再生も十分でなくなると、関節の表面が凸凹になり、なめらかな動きが阻害されて炎症が生じてくる。 ■人工膝関節置換術 人工膝関節置換術で日常の生活を取り戻したいと願う人は増加の一途で、手術件数は国内で年間9万例以上に。 人工膝関節置換術は、傷んで変形した膝関節の表面を取り除いて、金属やセラミック、ポリエチレン製の人工関節に置き換える手術だ。 ■手術支援ロボットが手術をサポート 同院に導入された手術支援ロボットROSAは、専門医師の助手として手術のサポートを行う。 ■ロボットに期待できること ❶ 体への負担が少ない術前計画 従来から、術前に患者の膝の状態を確認して医師が手術計画を立てるが、ロボットはレントゲンの画像検査による骨格情報をコンピューター処理して、個々の三次元画像モデルを素早くシミュレーションする。 ❷ より正確な手術 人工関節を置換するための骨を削る量を0.5㍉単位、角度を0.5度単位で設定可能。 より精度の高い手術と長期耐用が期待される。 ❸ 患者一人ひとりに合わせた手術 膝関節は、骨の形だけでなく、靭帯など軟部組織のダメージが動きに影響。そのため手術中に軟部組織の状態を確認し、骨を切除する角度や人工関節の設置位置の微調整が必要となる。手術支援ロボットは、リアルタイムでの計画変更も可能で、患者個々の状態に合わせて柔軟に対応できるシステムだ。 ■より高精度な手術! 人工膝関節置換術は、骨を削る量やどのように骨に設置するかにおいて、医師の経験・技術や感覚が担うところが大きい。人間の感覚によって行われている重要な部分を、術中にロボットが、骨切り精度と軟部組織(靭帯)バランスを微調整(コンピューターが瞬時に判断し、パソコン画面上に表現)することで、より精度の高い安定した手術を可能にする。 \ 医師の腕とロボットアームが協働。ロボットは有能な助手として、医師の執刀をサポートするだけで、勝手に動いたりはしない。 / 手術支援ロボットによる人工膝関節手術費用は保険適用、高額療養費制度の対象 \ チームでサポート!/ 習熟した専門医が手術し、看護師、理学療法士、薬剤師など病院スタッフが人工関節センターとしてチーム医療で早期の関節機能回復を図り、術後の定期的なフォローアップで、安心な生活をサポート。 副院長 整形外科部長・リハビリテーション センター長兼務 内藤 浩平 医師 /NAITO KOHEI(写真前列中央) 先生の健康法 ロードバイクで屋外を50~100km走ったり、室内でもペダルを踏んだりしますし、毎日ヘルスメーターで体重や体脂肪の管理をし、筋肉維持に努めています。 食べ過ぎないなど、食生活に気を付けるようにしています。 整形外科医長 岩本 圭史 医師 /IWAMOTO KEIJI(写真前列右) 先生の健康法 なるべくエレベーターを使わず、階段を利用しています。フットサルも再開しようと思っています。 ■問い合わせ/患者支援センター TEL.0742-35-2219■取材協力/医療法人康仁会 西の京病院 奈良市六条町102-1/https://www.nishinokyo.or.jp/