メディカル最前線vol.73 見逃されがちな心臓内の微小血管まで診ます!! メディカル最前線 2024.12.23 やーさん 高性能装置と高度な技術で的確・迅速な診断・治療 日本人の死亡原因は、第1位のがんに次ぐ第2位が心臓疾患。その約半数が心筋梗塞や狭心症で、命にかかわる怖い病気の一つだ。奈良県ではまだ3院にしかない高性能装置を使い、血管造影検査では見えない冠微小血管までを評価し、的確な診断・治療を行っている西の京病院。循環器内科医長の辻本大輔医師に話をうかがった。 循環器内科医長 辻本 大輔 医師/TSUJIMOTO DAISUKE 血管の健康が命に関わります。僕たちは、症状があるのに見た目(血管造影)では異常ないとされる隠れ狭心症の方々の異常を迅速・的確に見つけ、一人でも多くの患者を救いたいと思っています。 先生の健康法 白米と玄米半々のご飯にするなど精製したものはできるだけ減らし、週2で西大寺駅から速歩通勤するなど有酸素運動も心掛けています。 ■心臓や血管の病気 血液のポンプ役である心臓を取り囲む冠動脈が硬く狭くなると、心臓の筋肉に酸素を運ぶ血液が送られなくなり、胸が締め付けられるような痛みやひどい動悸がするなど、狭心症、心筋梗塞や動脈硬化などの虚血性心疾患を生じる。 ■コロフロー(CoroFlow)導入で微小血管障害性狭心症も診断可能に これまでの心臓CTや血管造影に映るのは心外膜冠動脈など心臓血管のうちの5%に過ぎない。これまで胸痛を覚えても異常なしとされていた人の中に、残り95%を占める心臓内部の微小血管障害による狭心症が多くあるとされ、同院では心・血管造影装置にコロフローを導入、格段に詳細な検査と治療が可能になった。 ■コロフロー検査とは 心外膜冠動脈の造影検査が解剖学的評価なのに対し、コロフローは生理学的機能検査。専用センサーを付けた髪の毛ほど細い針金を冠動脈に通して生理食塩水や薬剤を注入し、血管内の圧や温度の変化を測定、計算式に基づいてその血流機能を評価する。所要時間はトータル30分前後だとのことだが、もちろん熟練の技術を要する。 それら計6項目ほどの検査の総合的判断により、投薬による血管拡張などの治療を行い、発作を抑えていく。 \\ 冠微小血管用専用センサー器具 // ■1年半に85症例の異常を診断 奈良では3院のみのコロフロー 同院では2023年春にコロフローを導入、4月~2024年10月間に85症例を検査、目に見えない異常の診断率を大きくアップさせている。現在、奈良県内にその検査までできる設備や熟練の医師を置くのは、同院を含め3院のみだとのことだ。 ■危険因子は、生活習慣の乱れに! 塩分・糖質・脂肪分過多、喫煙、運動不足 狭心症は男女問わず30代から起きるという。その原因は、生活習慣の乱れが大きい。生活習慣病(高血圧症・高脂血症・糖尿病・慢性腎不全)に、喫煙・家族歴(遺伝)が影響する。その危険因子は、脂肪分や塩分、糖質の多い食生活、たばこ、そして特に運動不足だ。 \\ 熟練専門医が診察から治療・フォローまで // 熟練専門医が診察から治療・フォローまで 熟練した専門医が、多職種の医療スタッフと共に、診察から治療、リハビリまで総合的に診る医療環境が当院の強みです。 心臓・下肢動脈センター長 名方 剛 医師 /NAKATA TSUYOSHI(写真下段中央右) 先生の健康法 YouTubeの有酸素運動や週2~3回のジム通いで鍛えています。 内科部長 福井 寛人 医師 /FUKUI HIROTO(写真下段右) 先生の健康法 よく寝てストレスをためないこと。 ■問い合わせ/患者支援センター TEL.0742-35-2219■取材協力/医療法人康仁会 西の京病院 奈良市六条町102-1/https://www.nishinokyo.or.jp/