メディカル最前線vol.59 血管の健康が生存率を左右! メディカル最前線 2023.10.20 やーさん 【循環器内科 】高性能装置と密な連携で的確・迅速な診断・治療 日本人の死亡原因は、第1位のがんに次ぐ第2位が心臓疾患。その約半数が心筋梗塞や狭心症で、命にかかわる怖い病気の一つだ。血管の動脈硬化が原因で、冠状動脈や下肢動脈に起こる。その心疾患と下肢動脈疾患の診断・治療について最新装置を導入、更なる実績を上げている西の京病院の心臓・下肢動脈センター長の名方剛医師に話をうかがった。 心臓・下肢動脈 センター長 名方 剛 医師/NAKATA TSUYOSHI 血管の健康が命に関わります。予防・治療は運動と食事療法。また睡眠を含め、生活のリズムを保ちストレス軽減が大事です。オンオフで緊張緩和の時間を持ちましょう。 先生の健康法 生活習慣病の予防には有酸素運動が一番です。ちなみに私はYouTube利用から週2~3回のジム通いを始めました。 ■心臓や血管の病気 血液のポンプ役である心臓を取り囲む冠状動脈が硬く狭くなると、胸が締め付けられるような痛みやひどい動悸がするなど、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患を生じる。 また、休み休みじゃないと足が痛くて歩けない(間歇性破行かんせつせいはこう)や足指の治らない傷などの症状は、下肢閉塞性動脈硬化症の疑いがある。 下肢閉塞性動脈硬化症は、重症化しなくても死亡率が高く、重症化すると進行がんより予後も悪い病気。特に透析患者はなりやすいという。 ■心臓・下肢動脈センターとしてリニューアル 大幅な被ばく量軽減と超高画質 心筋梗塞や狭心症、下肢閉塞性動脈硬化症の疑いがある人は、冠状動脈や虚血性心・下肢動脈などの状態を細かく調べるカテーテル検査と治療を行う。 同院では、アンギオ(心・血管造影)装置などを更新。新装置の特徴は高精細・低被ばく・低侵襲だ。二方向同時撮影で撮像時間を短縮でき、放射線量を軽減、造影剤投与量も減らせるので、患者の負担を軽減しつつ高度な医療を提供できる。 ※バイプレーン装置で二方向から同時撮影 ■コロフロー(CoroFlow)導入で微小血管障害性狭心症も診断可能に これまでの心臓CTやMRIなどに映るのは5%程度の血管。これまで胸痛を覚えても異常なしとされていた人が、残り95%の微小血管障害による狭心症の場合があるとされ、同院では即、心・血管造影装置のコロフローを導入。検査時間は多少延びるが、より詳細な検査と治療が可能になった。 ■フットケアチーム力でトータルケア 下肢動脈疾患をはじめ、脚のトラブル全般をサポート また同院は各科の連携がスムーズでチーム医療を得意とし、間歇性破行は、下肢閉塞性動脈硬化症だけでなく脊椎管狭窄症の場合もあり、整形外科での診断も仰ぐ。 さらに脚の健康に関しては、「フットケアチーム」を結成。医師、看護師、透析センター、管理栄養士、臨床工学科、リハビリテーション科(理学療法士)などが定期的に一堂に会し、患者一人ひとりの治療方針を立てて密な連携治療を行っている。 ■危険因子は、生活習慣の乱れに! ―塩分・糖質・脂肪分過多、喫煙、運動不足― 心疾患も下肢閉塞性動脈硬化症もその原因は、加齢のほかに生活習慣の乱れが大きい。生活習慣病(高血圧症・高脂血症・糖尿病・慢性腎不全)に喫煙・家族歴(遺伝)が影響し、その危険因子は、脂肪分や塩分、糖質の多い食生活、たばこ、そして特に運動不足だ。 \熟練専門医が診察から治療・フォローまで/ 熟練した専門医が、周囲の医療スタッフと共に、診察から治療、リハビリまで総合的に診る医療環境が当院の強みです。 ■問い合わせ/患者支援センター TEL.0742-35-2219 ■取材協力/医療法人康仁会 西の京病院 奈良市六条町102-1/ https://www.nishinokyo.or.jp/