メディカル最前線vol.35 西の京病院 外科 メディカル最前線 2021.4.25 みょ 【外 科】 体にやさしい「腹腔鏡下手術」を積極的に 従来、開腹が常だった胃や大腸の手術だが、昨今は、体に負担の少ない腹腔鏡下手術が増えている。手術創が小さくてすむ上、痛みも少なく回復も早いからだ。”患者さんの苦痛軽減と早期回復“を目指し、専門医や認定看護師を中心にチーム体制で患者のサポートに当たる西の京病院「外科」で話を伺った。 ■腹腔鏡下手術で負担軽減 従来はおなかを20~30cmも切り開いて行っていた胃や大腸の手術だが、おなかに開けた4~5か所(1~3cm)の小さな穴から「腹腔鏡」という専用の高性能カメラで、おなかの中をモニターで見ながら行う手術が主流になってきている。従来の開腹手術では見えにくかった部位や血管・神経まで腹腔鏡カメラで驚くほど拡大されて見え、繊細な手術操作が可能となる。 穴の一つにはへそを用いることが多い。へそは体表面から腹腔に最も近く、術後の傷も目立ちにくい。 術傷小さく痛みも少なく早期退院 傷口が小さく痛みも少ないので手術当日か翌日から歩行可能、数日で食事も取れ、5~10日で退院と、患者の負担が大きく軽減される。 腹腔鏡下手術のメリット ○ 傷が小さくてすむ ○ 術後の痛みが少ない ○ 術後の回復が早い(早期退院・早期社会復帰) ○ 拡大鏡により繊細な手術が可能 ○ 出血量が少ない ○ 腸閉塞が少ない 手術の難易度は高く、高い専門知識と技術レベルが必要ですが、当院ではがん手術を含めた待機手術だけでなく、胆のう炎・虫垂炎といった緊急手術にも積極的に腹腔鏡下手術を行うことで患者さんに早期退院していただけることを目指しています。昨年は、外科手術の83%が腹腔鏡下手術でした。 消化器内科とのシームレスな連携でコラボ手術 消化器内科とも密に連携し、胃や十二指腸の病変によっては(内視鏡だけでは取り切れない懸念のあるものなど)、より安全・確実な方法で中と外から過不足なく取り除く「内視鏡×腹腔鏡」合同コラボ手術も行っている。 ■痔核硬化療法(肛門外来) 日帰りができて、 その日から普段の生活が可能! 西の京病院の外科では肛門外来を特設、痔核硬化療法も行っている。痔疾患の高割合を占める「いぼ痔」は、その程度によって様々な治療法があり、最新の注射剤による硬化療法(動脈から痔への血流を遮断)で切らずに治せる。 がんのような病気が隠れていることもあります。つらいのを我慢せず早期に治せばそれだけ悩む期間も短くてすみますよ。 “切るだけ”が外科ではありません。すべての手術を腹腔鏡下で行えるわけではないですが、優れた手術具や技術向上で手術の範囲が広がってきており、治療効果とできるだけ負担を減らせる治療法を選択しています。 様々な合併症をお持ちの方も多いと思いますが、他の科との連携しながら最良の方法で治療しますので、困りごとはご相談ください。 名誉院長 櫻井 隆久医師 外科部長 西沼 亮医師 外科副部長 櫻井 隆久医師 外 科:診察日/月・火・水・金・土曜 受付/8:30〜12:00 ■問い合わせ/患者支援センター TEL.0742-35-2219(月〜金8:30〜17:00、土8:30〜12:30)■取材協力/医療法人康仁会 西の京病院 TEL.0742-35-1122(メディカルプラザ薬師西の京事務局)奈良市六条町102-1