【眼科】“裸眼で見える”快適性を追求! 白内障、網膜硝子体手術のエキスパートDr.
視力の低下は、日常生活が不便になる上、読書や映画、旅行の楽しみも減り、思わぬ怪我も増える。特に白内障や緑内障、網膜硝子体疾患などは、早めの治療が必要だ。その手術に伴う眼内レンズで注目されているのが多焦点眼内レンズ。昨秋から白内障手術や網膜硝子体手術で実績を上げている西の京病院眼科の伊藤 暁部長に、話を伺った。
白内障手術
白内障は、進行するとレンズが光を通さなくなり、視力の低下やぼやけ、かすみなどを感じ、日常生活にも支障を来す。 そこで手術が必要となるが、その際、通常は、遠方か近方いずれかがよく見える単焦点眼内レンズを用いるが、近年多焦点眼内レンズの挿入が増えつつある。
一生モノの裸眼視力を回復 多焦点眼内レンズでQOLの向上
多焦点眼内レンズとは、遠くと近くが見える遠近両用レンズ。濁った水晶体を摘出し、代わりに、普通は単焦点眼内レンズ(保険適応)を挿入するので、老眼鏡か遠方用のメガネが必要だが、多焦点レンズだと遠方・近方の両方にピントが合い、さらに焦点拡張型のものだと、連続して焦点を結ぶのでメガネにほぼ依存しない生活ができる。
多焦点眼内レンズの見え方 乱視・軽度の緑内障にも適応
多焦点眼内レンズは、白内障をはじめ、老眼や近視・遠視などの視力回復が期待できるほか、乱視にも適応でき、軽度の緑内障などでも支障がないという。 また、以前は夜間のグレア(まぶしさ)など難もあったが、ここ3~4年の医療機器技術進歩で、ほとんど問題にならなくなったそうだ。
9年前、「車の運転と新聞が読める視力を」と手術した老眼初期の友人が、「眼の治療をしてからは、快適そのものよ!」と常々自慢。1mmぐらいの文字には老眼鏡を使うが広辞苑の文字も難なく読めるそうだ。
手術と術後管理
手術は、局所麻酔(目薬)下で顕微鏡を使って行い、眼内レンズ(ループも入れて10mm程度)を挿入する。痛みもほとんどないし、傷口も約2mm前後と非常に小さい。その時間はわずか10分ぐらいで、日帰り可能(希望があれば入院)だ。 適応可能かどうかは、網膜疾患など目の状態を精密にチェック、またレンズの種類も、患者が望む見え方をシュミレーションした上で手術の判断をする。
生活スタイルによっては、目的別メガネをプラス
術後、9割近くがメガネなしでの生活をしているが、たとえばカメラマンなど細かい視力を必要とする人は、さらに1点を合わせるメガネの着用が要る。
ネックは費用
現在は保険適用外の自由診療のため、施設によって違いはあるものの、単焦点レンズに比べ、かなり高額となる。ただ、日常生活の快適性はもとより、災害時やとっさの場合、メガネやコンタクト装着の手間や不安は解消されることなど、足し引き検討する価値はありそうだ。
70歳。あと20年近く生きるとして、メガネ何本買い替えるだろう? 遠近両用、パソコン用、炊事用、サングラス。ざっと計算して…。あれっ、眼内レンズの方が得?!
”裸眼で見える“ことの利点は、特に災害時などでしょう。とっさのときにも、身の安全性を確保し、二次災害に遭う確率も減らせると思います。眼科の医療技術も日々目覚しく向上しています。生活のクオリティ向上と災害時なども視野に入れて、眼を大切にしていきましょう。
眼科部長 伊藤 暁 医師
日本眼科学会専門医、眼科専門医
【専門】網膜硝子体手術・難治性白内障
■診察日:月・火・水・金曜日
その他、緑内障や黄班変性、 ドライアイなど、眼に関する ことなら何でも相談を。
眼科予約直通 TEL.0742-35-7683
取材協力/医療法人康仁会 西の京病院(メディカルプラザ薬師西の京事務局/奈良市六条町102-1)
https://www.nishinokyo.or.jp/
*yomiっこ2019年7月号に掲載の情報です