前回の続きで、今回はキューバを旅した話。カリブ海に浮かぶ美しい島だ。
1492年にコロンブスが上陸して以降、スペインやアメリカに統治され、第二次世界大戦を経てキューバ革命が勃発。
カストロとゲバラという英雄が誕生し、大統領になったカストロは旧ソ連の支援を受けながら統治した。様々な国に翻弄され社会主義国家として今あるキューバは、サトウキビ、葉巻、ラム酒以外に産業がなく細々と観光産業を続ける貧しい国だ。
教育には力を注いできたので医師や技術者の数が多く、彼らを隣国へ派遣し、わずかに外貨を稼ぐ。町は他国の統治以降インフラ整備が全く進んでいない。建物は傷みがひどく列車すら通っていない。
国民の6割が国家公務員として農業や葉巻、ラム酒づくりなどに携わっている。最低限の食住と医療、教育は与えられているものの、アメリカのトランプ大統領が辞任前にキューバをテロ支援国家として指定、基軸通貨であるキューバペソが国際決済できなくなり、百万人以上が海外へ亡命した。経済状況は困窮を極め、国家公務員の月給は平均20ドル。医師でも25ドルほど。また物不足が著しく、配給のパンに数時間並ぶなどはざらで、ガソリンを買うのに2日並ぶことも。
それでもキューバ人は皆朗らかだ。ラテンのリズムですぐに歌ったり踊ったりする。日々暮らしていけるから幸せだという。キューバ大使館の話では政府の展望もなくひどい国ではあるけれど、キューバ人自体が助け合い思いやりがあるので、それで救われていると話していた。貧しいのに幸せ度が高いキューバ、幸せの尺度は何か考えさせられる。
よみっこ編集長 朝廣 佳子