地震・災害に備える 家族を守る安心の住まい

今年元日に発生した能登半島地震。建物の倒壊や損傷など甚大な被害の様子が映し出され、改めて防災への意識が高まっている。
新築住宅・耐震リフォーム共に、地震や洪水などの災害から大切な家族を守る強さと、家族が楽しく充実して過ごせる快適性も併せ持つ住空間を考えましょう。

シンプル&スリムかつ豊かな暮らしを楽しむ家
家具を置かない収納と効率のいい動線

設計・施工/アルカイック建築設計事務所 相楽郡精華町・H邸
ソファーセット代わりのダウンフロアからの景色がお気に入り。吹き抜けの天井とでさらに空間が広がる
お気に入りのタイル壁面
食器や鍋類の収納スペースも組み込まれたキッチン
ファミリークローゼット
洗濯→干す→収納の効率優先。奥は浴室
洗面所
階段下のスペースにお気に入りのタイルで
趣味のパン作りを仕事にできればと業務用厨房も準備

周りを緑に囲まれ、東に若草山を遠望できる高台の家は、ロフト付きの平屋。2軒目の新築というH邸は、1軒目の反省点も含めて、「動線の効率化」と「家族の空間重視」、「家具を置かず、見える収納で不要なモノを増やさない」をベースに、ドアや壁の素材や色、照明、スイッチ、タイル等々、その一つひとつにはこだわり抜いた。シンプルにしてスリムながら、夢がいっぱい詰まった暮らしを紡ぐ空間だ。

※現行の耐震基準構造なのはもちろんのこと、屋根は軽い素材に。地盤や地質も丁寧に診断してからの施工。

地震・災害に備える工夫

シェルター
兼備蓄庫

階段下「男の隠れ家」は避難所として、備蓄庫として

施工/kinoto 生駒市・0邸

リビングから2階への階段下スペース(約2畳)は、ご主人用の「男の隠れ家」。いざという時の「シェルター」的空間にもなり、「災害時の備蓄品倉庫」用にも使える

地震・災害に備える工夫

耐震改修

費用と工期は?気になる耐震改修のすすめ

リフォーム後の日本家屋

施工/平野木材
耐震診断調査は現地に調査員が訪問し、屋内・屋外・屋根裏や床下の劣化状況や、壁の筋交いの有無などを調査する。調査内容から構造評点を算出し耐震診断書を作成。耐震改修では評点1.0未満を1.0以上に上げることを目指し、家の壁補強が中心となる。

耐震補強は筋交いや、耐震ボードなどを入れて地震の揺れに強い壁をバランスよく増やす。費用は壁の補強1か所で約10万円。狙う評点や規模によって変わるが、全体で約50万円からでも可能だ。耐震補強のみならば工期は1~2週間、一時引っ越しの必要なく改修が可能だ。自治体による助成制度もあり。もしもの大地震に備えて家の耐震化について考えてみよう。

筋交い
耐震ボード
家の耐震性能を向上させるための建材(天井・床を壊さない壁補強材もあり)

平野木材
耐震診断員の
藤井謙昌さん

平野木材 耐震診断員の
藤井謙昌さん

リフォーム時に合わせて耐震補強をすることをおすすめします。
地震が起こり、倒壊などの大きな被害が出る前に、家族を守る耐震補強を検討してみてください。

地震・災害に備える工夫

外構改修

高台のブロック塀をフェンスに軽量化し外観をモダンにリフォーム

劣化でブロック壁にヒビも…
施工/エクステリア杉浦

高台に建つ生駒市のMさんの住まい。庭から見る塀は高くはないが、擁壁の上にブロックが積まれ、道路から高い位置にあり崩れると危険だ。30年以上と思われるブロックの表面には経年劣化によるひび割れが見られた。リフォームでは6段のブロックを3段にし、ブロックの上に目隠しにもなり通気性を確保するルーバーフェンスを設置。上段をフェンスに変更したことで全体の高さを変えることなく軽量化され安全性が上がり、スリットの入ったデザインブロックとルーバーフェンスの組み合わせでモダンな外観に。

地震・災害
に備える

あなたの住まい 耐震は大丈夫?

まずは家の築年チェック!木造住宅の3つの耐震基準

1981年(昭和56)
5月以前

●旧耐震基準
震度5強程度の地震でほとんど損傷しないことを検証

1981年(昭和56)
6月以降

筋交いなどが入った耐震壁の量を増加

●新耐震基準
震度5強程度の地震でほとんど損傷しないことに加えて、震度6強〜7に達する程度の地震で倒壊・崩壊しないことを検証

2000年(平成12)
6月以降

新耐震基準+地盤調査(地耐力調査)が事実上必須化!

●現行基準
柱の柱頭・柱脚、筋交いの端部を固定するための金物を指定。家全体のバランス計算を義務化

2016年の熊本地震の調査では

旧耐震基準(昭和56年5月以前)の木造住宅は、新耐震基準・現行基準と比較して被害が大きかった。具体的には旧耐震基準の木造建築物の倒壊率は28.2%(214棟)で、新耐震基準8.7%(76棟)、現行基準2.2%(7棟)と比べて顕著に高かった。

誰でもできるわが家の耐震診断
(一般財団法人 日本建築防災協会)

地震に対してどのくらい心配があるか自己診断できる。
診断結果を見て不安があったら耐震診断を受けてみよう。

住宅の耐震化

昭和56年5月以前の旧耐震基準の木造住宅を対象に、耐震診断・耐震改修の補助の助成を県内の多くの市町村で行っている。市町村によってはブロック塀の撤去事業もあり、要件を満たすことで助成を受けられることも。詳細は各市町村に問い合わせてみよう。

ほとんどの市町村で無料で受けられる!※旧耐震基準の木造住宅対象

木造住宅の耐震診断

家の地震に対する強さを耐震診断員が調査。地盤の硬さや基礎、壁の筋交いの量とバランス、腐食やシロアリ被害などに着目し建物の状態を評価する。調査結果から構造評点が算出され1.0未満の場合は耐震改修が必要となる。

費用:ほとんどの市町村で無料(一部の市町村で費用負担あり)

木造住宅の耐震改修工事を進めるには?

耐震診断の結果を基に、建築士がどのように耐震補強を行うかを検討する。改修費用や期間、どの程度地震に強い家にするかの目標を相談しながら設計を行い、耐震改修工事を行う。耐震改修と同時にリフォームを行う場合、併せて相談を。
費用:耐震改修工事費の一部(23%~80%、補助限度額30~100万円)
※市町村により耐震内容と補助内容が異なる
※一定の要件あり ※詳細は各市町村へ問い合わせを

点検しよう

ブロック塀等

ブロック塀の耐久年数は約30年といわれ、築年数の経った古い塀は注意が必要だ。外観の損傷や塀の傾きなどチェック表を基に定期点検し、不適合がある場合は専門家や行政窓口へ相談しよう。

補助事業を行っている市町村もあるよ

新築&リフォーム前に補助金制度をチェック!

昨年に続き今年も「住宅省エネ2024キャンペーン」が実施されている。窓の高断熱化リフォームや高効率給湯器への交換など省エネ改修を対象に補助が受けられる。
■先進的窓リノベ2024事業(環境省)
窓・ドアの高断熱化リフォームを補助
対象世帯
すべての世帯
補助対象
内窓設置・外窓交換・ガラス交換・ドア交換
1戸あたりの補助額

上限 200万円

■子育てエコホーム支援事業(国土交通省)
長期優良住宅はたはZEH住宅の新築、住宅の省エネ改修などを補助

住宅の新築・新築分譲住宅の購入

対象世帯
子育て世帯
若者夫婦世帯
補助対象
長期優良住宅
ZEH住宅
1戸あたりの補助額
50万円~100万円 
40万円~80万円 

住宅のリフォーム

対象世帯
すべての世帯
補助対象
A
①開口部の断熱改修 
②外壁、屋根、天井又は床の断熱改修 
③エコ住宅設備の設置
B
④子育て対応改修
⑤防災性向上改修 
⑥バリアフリー改修 
⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコン設置工事など
(Aのいずれかの工事が含まれることが必須)
補助額

上限 20万円
(世帯要件等により最大60万円)

■給湯省エネ2024事業(経済産業省)
高効率給湯器の導入を補助
対象世帯
すべての世帯
中古住宅の購入
ヒートポンプ給湯器
(エコキュート)
ハイブリット給湯器

家庭用燃料電池
(エネファーム)

1台あたりの補助額
最大13万円

最大15万円

最大20万円
※補助金の申請は登録事業社が実施、検討する人は事業社に確認してみよう
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