Boze数珠繋ぎ#258|御所大師教会・馬場 弘暢 師

若いお坊さんへのリレーインタビュー

「Boze数珠つなぎ」

#258

Profile

高野山真言宗 
御所大師教会 副住職
真言宗中山寺派 大本山中山寺 主任

馬場 弘暢 師

ばば こうちょう

1987年御所市生まれ。37歳
種智院大学卒業後、高野山専修学院修了。
中山寺に勤務。
平成22年から御所大師教会副住職に就任。
義光寺兼務。

目指せ!本堂再興

御所の町中にある、御所大師教会です。ここは、香具山寺の別当をしていた私の曽祖父が、信仰心をはぐくむ修行の場所として昭和8年に造ったものです。本堂にはご本尊の弘法大師様もおられますが、昔の名残でそのまま教会の名前を継いでおります。
曽祖父も祖父も非常に信仰心があつく修行に熱心で、毎日伏見や吉野の蔵王堂に自転車で参拝に通う日々を過ごしていたようです。曽祖父はこの教会を一年がかりで造り上げました。
祖父も若くして亡くなり、その後祖母が代わりに尼僧となって続けておりました。今の住職である父は教員として当時は働いておりました。が、祖母の他界を機に高野山真別処で加行を満行し、お寺を継ぎました。継いだ後は、同じく教員だった母と一緒にお寺で寺子屋を続けております。お陰で、お寺の行事には子どもたちもたくさん参加してくれて、にぎやかに行っております。
私はといえば、ずっとお寺のことには無関心で、アニメやナレーションを行う声優になりたいと思っていました。ですが、親に大反対され、あきらめて種智院大学に入りました。
入学してすぐに「法要実行委員会」に入ったことにより、私の人生は仏教へとがらりと変わりました。ここは年に2度の大行事「降誕会」と「常楽会」を行うところです。「降誕会」とは、お大師さんのお誕生日をお祝いするもの、「常楽会」とは、お釈迦様の涅槃ねはんの供養をするものです。
種智院大学は、真言宗17の本山が経営する大学です。各本山から教授として僧侶の先生方が入られておられ、法要の仕方などをご指導いただきながら、僧侶として必要なことを学びます。
私は1年生の時から「法要実行委員会」の執行部に引っ張られ、3年生で実行委員長を務めさせていただきました。同じ真言宗でも古儀と新儀と声明一つも、やり方が全然違うので、それぞれを学んで行うことになります。これらを学んでいく中で、各地のお寺にお手伝いに伺っておりました。
その後入った高野山専修学院でも法要の経験がとても役に立ちました。この学院で1年間の修行をし、最後は加行で満行となります。もちろん短期で覚えることの多さや段取りの多さは大変でしたが、これらの経験ゆえに、段取り8分に本番2分。ノウハウはたたき込まれました。
お陰で法要のことなら所作の意味も含めてだいたいわかるようになり、専修学院を卒業する折には有り難いことに京都や奈良の各寺から入山のお誘いをいただきました。
最終的に、大学1年の時から手伝いに行っていた宝塚の中山寺にお世話になりました。ここは子授けや安産祈願で有名なお寺で、妊婦さん主体のお寺と言っても過言ではなく、新しい命の誕生を願う、とても幸せな場所なのです。一方、子どもができなくてご祈祷に来られる方にいかに寄り添いケアできるかも大切なことです。子どもが授かりましたとお礼に来られるのが本当にうれしく、ここに勤めていて有り難いなと思う時です。
中山寺に勤めて16年ち今に至っておりますが、住職も体力的に心もとないとのことで、昨年よりなお一層、御所大師教会の仕事もさせていただいております。また中山寺で学んだことを自坊でも生かしております。たとえば地蔵盆の演出とか、法要の時に落語家を招くなど、中山寺から蓮もいただいて境内で育てております。
今後を考えると、人口が減少していく中で、一人で老後を過ごす方が多くなる、そうなった時のお寺のありようを考えないといけないと思っています。心をお寺に寄せてくれれば、最大限それを大切にして、悩み事など一つひとつ細かくピックアップして、いかに心を救ってあげられるかがお寺に求められていることと思います。そのためにも、私の時代に伽藍がらんを生涯かけて建て直すことを人生の目標にしております。
それと、うちは独特の護摩祈祷が有名です。これは曽祖父から続く門外不出で受け継がれていて、霊験あらたかと皆様から言われます。護摩のすぐ近くまで来ていただける迫力のあるものです。ぜひ一度、体験しにいらしてください。
最近の楽しみは、お釈迦様の勉強をし直していることです。お釈迦様にも本当は言えないけれども我々のように人間臭いところがあったことを知り、より親しみを感じているところです。詳しく知りたい方はお寺までどうぞ。

聞き手:朝廣佳子

御所大師教会 年中行事

※記載がないときは朝10時から
毎月21日 弘法大師月並み例祭
5月と10月四国八十八か所巡拝
【ご祈祷は毎日受付(要事前連絡)】
1月1日
修正会 新春護摩祈祷(0時半〜)
1月21日
初大師
(福徳ぜんざい接待あり)
1月28日
初不動
2月3日
節分会 星祭
3月21日
春季彼岸塔婆供養法会
4月8日
釈尊誕生花祭り
4月(21日に直近の日曜日)
春季大祭
旧正御影供法要
6月2日
義海阿闍梨忌
6月28日
金龍大神大祭
8月24日
地蔵盆 
川施餓鬼供養(18時~)
9月21日
秋季彼岸塔婆供養法会
11月 (第2日曜日)
秋季大祭 
四国八十八か所お砂
踏み法要・霜月祭
11月28日
終い不動
12月21日
終い大師
春季大祭
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