【奈良市】創業130年の老舗菓子司がリニューアル(御菓子司 鶴屋徳満 本店) 2023.3.14 やーさん 近鉄奈良駅から東向き商店街、もちいどのセンター街とアーケードを抜けながら約10分まっすぐ南へ。下御門商店街のアーケードに差し掛かるとすぐ左手にあるのが、創業130年の和菓子の老舗「鶴屋徳満(つるやとくまん)」の本店です。 歴史の重みを見せる看板の下に、今までとは全く違う空間が奥へと続いています。かつては興福寺の境内だったというこの地域。間口で税金が課されたので「ウナギの寝床」状の建物が多いということですが、まさにそれです。店が数十メートル、製造工房も入れると奥行き40メートルはあるようです。 表には奈良の行事や地域ゆかりの伝統のお菓子、「献上三笠」や「飛鳥古京」「もなか はくろく」「瑞祥 夢殿」「曲水の宴」などの半生菓子、「青丹よし」などの干菓子、「煎餅 奈良の香」と、季節の生菓子のショーケース、百枚以上もあったという木製〝番重(ばんじゅう)〟を張り合わせたカウンターに「鶴屋徳満」の文字が光ります。 ちなみに「献上三笠」は、現上皇(平成天皇)立太子の橿原神宮奉告の折、先代がお召列車に乗車、「大きいサイズのものを」とお達しでジャンボサイズにして献上、以来その菓銘にしたそうです。 長いカウンターの先の一段高い一画に喫茶スペースが設けられています。元工房だったというところは、滑車で小豆などを2階の倉庫に上げていたという吹き抜け空間。今まで使われていた古材を張り合わせた壁、正倉院文様や奈良の名所旧跡が描かれた小襖を仕込んだガラステーブルなど、シックな落ち着きとデザインのモダンさがうまく調和しています。 自然光でお菓子の出来具合を見るためガラス張りの窓を設けていたそうですが、その模様ガラスも採光用の小窓にはめ込まれ、やわらかな光を注いでいます。その下に鎮座するのは江戸時代の食器棚。そしてその上には、昭和24年(1949)に壁画が燃えた法隆寺の金堂の解体で出た古木に、商品銘「青丹与し(あをによし)」を赤膚焼で入れた看板が鎮座しています。1400年前の建立時に千年杉を使っていたとしたら? 気が遠くなるほどの歴史の重みが威光を放ちます。 奥に行くに従い20㎝ずつぐらい高くなっていくのは、地形のせいだとか。歩行が不自由な人にとっては難儀なのですが、ちょっと手助けしていただいて、菓子職人の匠の技が光る生菓子とお抹茶で心落ち着くひとときは至高の時間になること請け合いです。 上生菓子とお抹茶のセット1,000円〜写真は『開山 良弁椿とお抹茶のセット』 1,100円(期間限定) 取材時(3月3日)は、お水取りで二月堂の内陣を荘厳する開山堂の良弁椿(糊こぼし)を象った上生菓子『開山 良弁椿』とお抹茶のセットだけでしたが、これから少しずつ甘味メニューが増えてくるそうです。夏にはかき氷の登場も期待できるかも。