メディカル最前線vol.5 西の京病院 消化器内視鏡センター メディカル最前線 2018.7.15 みょ 【消化器内視鏡センター】苦痛なく確実な検査で胃ガンの早期発見・早期治療! 胃ガンは、日本人のガン罹患率で第1位、ガン死亡原因で第3位(肺・大腸に続く)。 内視鏡切除可能な早期(ステージI期)に発見できれば、5 年生存率は 97%、だが多臓器に転移した場合(ステージV 期)のそれは 10%未満に。だから早期発見が最重要なのだ が、ステージⅠ期のガンは無症状だ。そこで早期発見に有力で確実な内視鏡検査について、西の京病院消化器内視鏡センターで話を伺った。 安心安全でカラダに負担をかけない内視鏡検査 内視鏡カメラの有効性をわかっていても、一度でもつらい思いをすれば、消極的になるのが普通。「そこで当院では、患者さんの負担を大幅に軽減できる内視鏡検査を導入しています。最新鋭のハイビジョンカメラを用いた鎮静下内視鏡検査は、精度も高く、私たち医師は従来よりも短い時間でより的確な診断ができます」と塩谷先生。 身構えてばかりいると手遅れになることも! 高い精度と安全性、痛みを伴わない鎮静下内視鏡 内視鏡カメラは、口から挿入する経口タイプ、鼻からの経鼻タイプがある。経鼻タイプのおう吐反射はやや軽いものの画質やズーム機能が未整備の上、操作にも神経を使う。そのため同院では、NBI拡大内視鏡(最大80 倍の拡大観察) を導入。これはズーム機能と2つの波長を搭載し、精度の高い観察が可能だ。ただ、スコープの太さが10㍉程度あり、通常のやり方では苦痛が伴うことも。そこで同院では鎮静下での検査を実施している。 鎮静下とは、麻酔を使った状態のことで、受診者は痛みを感じず、医師も受診者の苦しそうな表情を見ることなく、診断に集中できるそうだ。この麻酔は効きが早く、醒めた後はすっと消えるタイプなので安心。また大腸の内視鏡検査を続けて行うこともでき、1回の来院で済む。 4千件を超える実績。ムダな細胞検査を減らし、従来検査と同等費用で 一昨年4月からの導入で、同検査は4千件を超えた。そしてその99.3%が次回からの検査も“鎮静下を希望する”と答えた。 食道ガンや十二指腸ガンの発見に結びついた例も多い上、今まではもどかしかった質的診断も可能で、”疑わしきは細胞検査“の慣習を破り、ムダな検査を減らせる。また胃ガンに大きく関与するピロリ菌の有無も内視鏡で診て、リスクの予測と予防に役立てる。 最新鋭の内視鏡で開腹しない短期入院治療も 同院では、最新鋭の内視鏡を使った検査だけでなく治療も行う。従来は開腹が必要だった手術も、経験豊富な専門医が内視鏡を使い、食道ガン、胃ガン、十二指腸ガンとも体にダメージを与えない治療にあたる。 塩谷 淳医師消化器内視鏡センター長 松木信之医師消化器内科医長 取材協力/医療法人康仁会 西の京病院 TEL.0742-35-1122(メディカルプラザ薬師西の京事務局)奈良市六条町102-1https://www.nishinokyo.or.jp