メディカル最前線vol.10 西の京病院 整形外科

【整形外科】最新の人工関節手術で 自由に動ける生活をエンジョイ

その痛み、変形性膝関節症かも? 変形性股関節症かも?

高齢化社会を反映して、四肢の関節痛を訴える人が増えている。その慢性疾患の疼痛の緩和・改善をリハビリなどで対応しつつ、股関節・膝関節の人工関節手術を、患者に負担の少ない低侵襲手術法で成果を挙げている西の京病院整形外科・人工関節センターの内藤浩平センター長に、その最先端手術や治療について話を伺った。

変形性膝関節症 変形性股関節症

加齢と共に膝や股関節の軟骨がすり減って徐々に変形していく病気で、痛みを感じ、悪化すると歩行困難、日常生活に支障を来すようになるもの。

変形性膝関節症の治療

まずは正確な診断。患者の愁訴を問診・視診、レントゲンやMRIなどで検査の上、診断を下す。変形や痛みが比較的軽い場合は、理学療法士の指導下で、運動・ストレッチなどで筋力を強化し、薬などで疼痛の改善・予防(温存療法)。痛みが強く、日常生活も不自由な場合は、人工膝関節置換術を検討する。

画期的な人工関節置換術

MIS法(Minimally Invasive Surgery)をいち早く導入

人工膝関節置換術は、すり減った関節表面を金属やセラミックなど人工のものに取り替える手術。従来は、皮膚・筋肉・腱の切開が15〜20㌢必要だったが、新技術のMIS法だと6〜10㌢で済み、周辺筋肉や神経をほとんど傷つけないので入院期間も三分の一と短縮、患者の負担を大きく軽減できる。

人工関節置換術(MIS-PL法)

変形性股関節症や先天性股関節脱臼、関節リウマチ、大腿骨頭壊死などの股関節障害の治療に行うのが人工股関節置換術。これは破壊された股関節の骨盤側に金属の臼蓋を入れて、大腿骨側の骨頭を金属のものに置き換える手術。膝関節のMIS法と同様、皮膚の切開や筋肉の切離がほとんどなく、術後の疼痛軽減や入院期間が短縮される。

ナビゲーションシステムで、より正確な手術(技術+科学)

術前にCT撮影を行い、その患者に最適な人工関節の大きさやデザイン、設置位置、角度、術後の可動域などをシミュレーション、入念な術前計画をたて、そのナビゲーションシステム下で手術する。手術翌日には、歩行器で歩行訓練開始。定期的に診断や検査を行いながら経過観察へ。

三次元動作解析で”カッコいい歩き方”実現

術後に患者の歩き方を解析。歩行時の足裏の軌跡をモニターに出し、下肢や関節の動きを細かく分析(三次元動作解析)し、患者が満足する歩き方や美しい歩き方の動きを探っていく。

人工関節の耐久年数は30年以上に

以前は15〜20年とされていた人口関節の耐久年数。近年は材質やデザインの飛躍的な進化で30年以上の耐久性が望めるという。

膝が悪い人はまず、膝のストレッチと筋力トレーニングから始めましょう。一生に一度の手術で済む時代です。痛みや違和感を覚えたときは専門医を受診し、治療のタイミングを逃さない。それが、年を重ねても活動範囲が広く質の高い生活につながるのでは。

内藤 浩平(ないとう こうへい)医師
整形外科部長・人工関節センター長・ リハビリテーションセンター長

整形外科学会専門医、リウマチ学会専門医、リハビリテーション医学会認定臨床医、骨粗鬆学会認定医

●問い合わせ
患者支援センター TEL.0742-35-2219

取材協力/医療法人康仁会 西の京病院(メディカルプラザ薬師西の京事務局/奈良市六条町102-1
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https://www.nishinokyo.or.jp/

*yomiっこ2019年1月号に掲載の情報です

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