〈大和郡山市〉国史跡 郡山城跡内で野外舞台「能楽公演」が開催されました 2024.10.9 みょ 柳澤吉里 郡山入部300年記念「郡山城 能楽公演」江戸の流儀に則り、野外での開催 今年は、郡山藩主である柳澤吉里が甲府から大和国郡山に入部(享保9年/1724年)してから300年の節目の年。その記念事業として、10月5日(土)、奈良県大和郡山市の郡山城跡内にて能楽公演が行われました(柳澤文庫保存会主催)。 前日までの雨が打ってかわり素晴らしい晴天で、公益財団法人郡山城史跡・柳澤文庫保存会理事長 柳澤とも子氏の挨拶、上田清大和郡山市長の挨拶で始まりました。今回の能楽公演は、江戸時代の流儀に則り、野外に設置された舞台での公演、約250人が来場し能舞台を楽しみました。 柳澤家郡山藩初代藩主である柳澤吉里と5代将軍綱吉の側近であった父・吉保親子は、能好きで知られています。また、3代藩主の柳澤保光も学問や歌学に長け、能楽をこよなく愛したことから、二の丸屋形(現郡山高校)内に、能舞台を作っています。 これにより宝生流能楽が郡山の地に根付き「郡山宝生」と称されるまでに至りました。 今回開催された能楽公演では、柳澤家に残る演能の記録にもある当時の演目を再現。 能奉行による口上から始まり、天下泰平・国土安穏を祈る「翁」を謡のみで演じる素謡(すうたい)という形式で行い、翁舞の後に続く「三番三(さんばそう)」を独立させて演じる狂言舞。そして浄めの火として灯される「火入れの儀」、狂言「福の神」、能「高砂」といった演目でした。 【演目】 素謡「翁」 宝生流能楽師 辰巳満次郎 「三番三」 大蔵流狂言師 茂山忠三郎 狂言「福の神」 茂山忠三郎 能「高砂」 辰巳満次郎 来場者からは、「晴天の中での開放感と、目が合う距離で観れたのがなかなか迫力があった」や、「あまり能には詳しくないけど、聞いたことのある詩やセルフはこの場面かぁ〜と知れておもしろかった」などの声がありました。 また、上田市長からのお話の中でもあった、今回翁を務めた能楽師 辰巳満次郎氏が常々言われている「能楽は引き算の美学」という言葉がとても印象に残っています。 江戸時代以降の文化では、演じることにおいてより分かりやすく、面白さをどんどん足していったものが多いが、能楽というのはよりシンプルに、鑑賞者の想像力を引き出す演出だそう。「見えぬものを観る」「聞こえぬものを聴く」そんな楽しみ方を知れる楽しい舞台でした。 今後も300年記念のイベントが続きます。詳細は、柳沢文庫保存会のHPをぜひチェックしてみてください。https://www.yanagisawabunko.or.jp/