若いお坊さんへのリレーインタビュー
「Boze数珠つなぎ」
#257
Profile
高野山真言宗 龍王山
寳壽院 住職
寳壽院 住職
辻田 真海 師
つじた しんかい
1961年奈良県川上村生まれ。63歳
帝塚山大学卒業、7年後に結婚、3児の母。
2000年矢田寺大門坊道場で剃髪。
2002年寳壽院道場で四度加行満行、
同年高野山真別所道場にて菩薩戒・沙彌尼戒・
苾蒭戒を受了、同年寶壽院道場法潅頂入壇了、
2006年川上村明光寺、川上村内、明光寺・傳徳寺住職 寳壽院副住職
2024年 寳壽院住職
帝塚山大学卒業、7年後に結婚、3児の母。
2000年矢田寺大門坊道場で剃髪。
2002年寳壽院道場で四度加行満行、
同年高野山真別所道場にて菩薩戒・沙彌尼戒・
苾蒭戒を受了、同年寶壽院道場法潅頂入壇了、
2006年川上村明光寺、川上村内、明光寺・傳徳寺住職 寳壽院副住職
2024年 寳壽院住職
主婦から僧侶になりました
水源地の村として有名な吉野郡川上村にある、高野山真言宗の寳壽院というお寺で住職をしております。
お寺はホテル杉の湯の横の坂道を上がった高台にあります。開祖は修験道中興の祖と言われる理源大師で、平安前期、約千百年前に開かれたとされます。日本唯一の「船不動明王」をご本尊としております。
今は檀家さんと信者さんが半々ぐらいです。いつも意識しているのは皆様がどういうふうに生きていけば、いわゆる楽な生き方ができるかということです。
いろんな方が悩みを相談に来られる中で、百人いれば百通りの解決方法があるわけです。例えると、前から見てつらかったら後ろから見てみたらどうですか、とか、こんなふうに考えるとご自身が楽ですよね、といったように、仏教の教えに従って、一つのことに固執したり偏った考えを持ったりしないことを勧めています。
私自身、人生を大きく変えました。そもそも私は普通の主婦だったのですが、40歳で出家し僧侶になったのです。ここで生まれ育ったとはいえ、お寺を継ぐとか僧侶になるなんて考えもしませんでした。だんだん年老いていく両親の姿を間近で見ていて、住職である父に「私、お寺継ごうかな」と言ってみましたら「1週間前から聖天尊に跡取りを授けてほしいとお願いしていたら、お前だったんだな」と言われ、あれよあれよという間に四度加行などを終えて僧侶になりました。
主人は会社員で、出家当時は小学生、幼稚園の男の子が3人、家は木津川市と遠いのですが、家族はそんなに違和感なく受け入れ、協力してくれました。
住職である父のもと、自坊で僧侶人生が始まったわけですが、進めていくうちに思う道が見えてきました。こちらには生駒の宝山寺の聖天さんを分霊してお祀りさせていただいており、商売繁盛を願って多くの方が訪れますが、私は商売繁盛がかなったその先、仏法に向き合っていただきたい、その次に仏道を成じていただきたいと思うようになりました。
どうすればいいのかと壁にぶち当たっていた十数年前に、生駒の田原亮演師にお会いし、それ以来ずっと教えを仰いでおります。師は経典をわかりやすく説かれた「やすらぎの信条」というものをお考えになりました。それがとても素晴らしい信条なのです。13条あるのですが、先生にお願いして教本にしていただき、お寺や各家でもお唱えしていただいております。
例えば、
一、過ぎ去ったことにいつまでもとらわれないようにしよう。
一、先のことをあれこれ思い煩って悩まないようにしよう。
一、他人の言葉や態度にとらわれないようにしよう
などです。一見、当たり前と思われること、その当たり前ができないのです。読んで当たり前だと思った人はできていないということのように思います。
一、過ぎ去ったことにいつまでもとらわれないようにしよう。
一、先のことをあれこれ思い煩って悩まないようにしよう。
一、他人の言葉や態度にとらわれないようにしよう
などです。一見、当たり前と思われること、その当たり前ができないのです。読んで当たり前だと思った人はできていないということのように思います。
私は人の幸せとは、心がやすらぐことが本当の幸せと思っています。まさにこの教本はそれを目指していくためにあるものです。この信条を5年、10年唱えていると、雪が降り積もるように心の中に浸透していくと思います。
また、このお寺では毎年荒行を行っております。夏と冬に2週間ずつ、私も出家してからずっと行ってきました。夏は2週間ぶっ通しで護摩を焚き、冬も2週間の護摩焚きに加え、大寒の日に高野山奥の院 玉川で信者と共に水行をします。外気温平均マイナス10度ぐらい、水温もマイナスに近い環境です。すぐに入ると危険なので、30分ぐらい外で体を十分冷やしてもらってから川に約15分入ります。その後、玉川の横の不動堂で護摩を焚くのですが、寒過ぎて震えが止まらない状態で続けています。
この水行は、父が始めて70年続けてまいりましたが、4年前にご本尊様から「数え年65歳で水行を終えよ」というご啓示をいただいたので、ちょうど本年の大寒をもって満行させていただきました。これからは土用・大寒修行と共に、瞑想などを通じて精神の安寧を得る禅定行に専念し、人々を正しく導きたいと思っています。
僧侶になったときに「人々を救いたい」と心底思いました。ところが最近、同時に私も救われているのかもしれない。信者さんが救われた時、私も救われているのだということに気づいたのです。
まだまだ学ぶことが多く、修行は道半ばと思っています。これからも皆様の幸せを願って頑張ります。
聞き手:朝廣佳子
寳壽院 年中行事
正月元日~3日
初祈祷会(ご本尊ご開帳)
1月21日~2月3日
大寒修行期間
2月3日
節分星祭り厄除け祈祷
毎年二ノ庚申
庚申祭柴燈護摩
毎年旧暦3月21日
弘法大師御影供
春の彼岸
彼岸会
6月1日
青葉まつり
7月21日~8月3日
土用修行期間
7月28日
本尊船不動明王大祭
秋の彼岸
彼岸会
毎年中秋名月夜
中秋の名月万病封じ