メディカル最前線vol.67 ころんでも折れない骨づくり&ころばない体(筋肉)づくり メディカル最前線 2024.6.21 やーさん 【骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS)チーム】骨粗鬆症 超高齢化に伴い、患者が急増中の骨粗鬆症こつそしょうしょう。日本人女性の60代以上では約7割が骨粗鬆症だといわれている。従来の骨を壊す「破骨細胞」の活動を抑える治療から、骨をつくる「骨芽細胞」の働きを高める新薬での治療まで、適切な骨粗鬆症診断と治療に取り組む西の京病院「骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS)チーム」に話を伺った。 副院長・整形外科部長・リハビリテーションセンター長 内藤 浩平 医師 /NAITO KOHEI 先生の健康法 ロードバイクで月400~500㎞は走りますし、体重や体脂肪の管理をし、筋肉維持に努めています。 ■その症状、骨粗鬆症のサインかも 一つでも当てはまれば骨粗鬆症の可能性が! 身長が縮んできた 背中や腰が曲がってきた 背中や腰に痛みを感じる ■骨折・転倒は要介護に至る原因の第3位 骨がもろくなると、ちょっとしたことで骨折しやすくなる。一度骨折すると次の骨折のリスクが上昇。痛みはもちろん長期のリハビリが必要となり、生活の質(QOL)が低下。寝たきりになることで介護を必要とする生活になることもある。 ■骨粗鬆症の原因 体の中の骨は一生を通じて新陳代謝しており、新たに骨を作りつつ(骨形成)、溶かして壊すこと(骨吸収)が繰り返されており、このバランスが崩れ、骨吸収のスピードが骨形成を上回ると骨密度が低下する。 体の中の骨は一生を通じて新陳代謝しており、新たに骨を作りつつ(骨形成)、溶かして壊すこと(骨吸収)が繰り返されており、このバランスが崩れ、骨吸収のスピードが骨形成を上回ると骨密度が低下する。 ①加齢 骨密度のピークは男女共に20代、その後は徐々に低下。 ②女性ホルモンの低下 閉経で骨吸収スピードの緩和効果があるエストロゲンが減少し、骨吸収のスピードが上がる。 ③生活習慣 カルシウム・ビタミンD・ビタミンKなどの欠乏、過度なダイエット、運動不足や日光不足、喫煙や過度の飲酒などは、骨密度・骨質の低下につながる。また、糖尿病や関節リウマチ、内臓疾患などでも骨質が低下する。 ■予防には骨粗鬆症検診!5年に一度は公費で受けられる! 骨粗鬆症の予防は、まず自分の骨の健康度を知ること。男女とも50歳を超えたら毎年骨密度測定を。自分の骨の健康度を知って、丈夫な骨の状態を維持することが、骨折を防ぎ自立して長寿を楽しめることにつながります。 0歳~25歳を骨密度100%とすると、80~70%以下は要治療だ 奈良県の骨粗鬆症受診率は約5%と低い ■治療 骨形成の新薬も 【保険適用】注射で骨量増加、骨構造改善 病状や年齢を考慮し、食事療法はもちろん、骨形成を促すため内服薬や注射による治療と、運動による筋肉強化で〝折れない・ころばない体づくり〟に注力する。骨折した場合は、骨折治療と並行して次の骨折を起こさないよう骨粗鬆症治療を行う。 【Doctor’s comment】年間約2百人の患者さんのデータを長年蓄積、それを統計分析して治療に役立てています 骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS)チーム リウマチ科部長 ■城𥔎 和久 医師 /KIZAKI KAZUHISA(上集合前列左) 先生の健康法 車通勤から電車+徒歩通勤にし、摂取カロリーの管理も心がけています。 ■岩本 圭史 医師 /IWAMOTO KEIJI(上集合前列右) 先生の健康法 以前やっていたフットサルを再開し鍛えます! OLSリーダー ■田中 真弓 看護師/TANAKA MAYUMI 患者本人や家族の協力も得ながら生活指導 西の京病院では、骨粗鬆症診療のコーディネーター「骨粗鬆症リエゾンサービスチーム」を組織。医師だけでなく、看護師、薬剤師、放射線技師、理学療法士、管理栄養士、臨床検査技師、臨床工学技士、歯科衛生士など多職種が専門知識を生かし、連携して骨粗鬆症治療、骨折予防を推進する。 全身の骨密度を短時間(約5分)でより正確に測定 高性能骨密度測定装置 ■問い合わせ/患者支援センター TEL.0742-35-2219■取材協力/医療法人康仁会 西の京病院 奈良市六条町102-1/https://www.nishinokyo.or.jp/