二十四節気|白露

二十四節気でめぐる奈良の風景

「奈良ごよみ NARA-GOYOMI

悠久の歴史と文化が息づく古都・奈良では、1年を通じて変化に富む自然の風景、長い歴史文化に基づく数多くの祭礼や行事、旬の食材に恵まれています。そんな四季折々の「奈良」を二十四節気ごとにご紹介いたします。

古代中国でつくられた季節の区分法で、太陽の動きにあわせて1年を24に分けたもの(一つの節気は15日程度)。季節の訪れをひと足先に察知することができ、天候によって左右される農作業の指針として今でも使われています。
そして、二十四節気をさらに3等分し、季節の風物を表したものが「七十二候」。
それぞれに美しい名前が付けられており、四季よりも細かな季節を文字でも楽しみ、感じることができるのです♪
(今では新暦(太陽暦)が使われているので、現代の四季と二十四節気による四季には少しずれがあります)

二十四節気

白露はくろ

9月7日~9月21日頃

「二十四節気」の15番目の節気。白露とは風のない晴れた夜に発生する「しらつゆ」のこと。草や木に白い露がつき、白く光って見える様を言います。本格的な秋の訪れを感じさせる節気です。
七十二候:第43候

草露白
(くさのつゆしろし)

9月7日~9月11日頃

野山を歩くと木々の葉や草花に小さな朝露が、白く涼しく見えるのに気がつきます。歩けば足元がぐっしょりと濡れる露時雨(つゆしぐれ)に秋の訪れを感じる時季です。「白」という表現が秋そのもので、陰陽五行で秋は白を司るので、白秋と言います。また素秋という季語もありますが、「素」も白を意味しています。「露が降りると晴れ」といい、足元を濡らす朝露は清々しい1日をを伝えてくれます。
photo:「月と水煙」 (桜井市)© 澤戢三
七十二候:第44候

鶺鴒鳴
(せきれいなく)

9月12日~9月16日頃

鶺鴒(せきれい)の「チチッチチッ」という鈴のように高い鳴き声に聞き覚えがある人も多いはず。水辺を好む鳥ですが、民家の軒下や石垣にも巣を作ります。ピンと伸ばした尾を上下に振りながら地面を叩くように歩く様子からイシタタキなどの異名がつけられました。『古事記』には伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)が愛を交わす際、鶺鴒の尾の動きに倣ったというくだりがあり、「オシエドリ」ともいわれます。
photo:「鶺鴒」(奈良市)© 林智美
七十二候:第45候

玄鳥去
(つばめさる)

9月17日~9月21日頃

春先に日本にやってきた燕が夏までに子育てを終えて、秋が深まる中、越冬のために南へと旅立つ頃。越冬先である東南アジアやオーストラリアまでは数千㎞。1日300㎞以上飛ぶこともあるそうです。燕は田畑の害虫を食べてくれる益鳥で、昔から日本人に親しまれて大切にされてきました。「燕が巣を作ると家が栄える」「燕が低く飛ぶと雨」といったことわざも数多く知られています。秋の「玄鳥去(つばめさる)」と春の清明の初候「玄鳥至(つばめきたる)」が対になっています。
photo:「笠の蕎麦の花」(桜井市)© 髙見恭子
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