仇討ちの後、兄弟の遺骨を胸に抱き、虎女は菩提をとむらう旅に出ます。あちこちに曽我兄弟ゆかりの地が生まれたのは、彼女が諸国を巡ったからでしょう。兄弟の墓も一か所ではありません(?)。後に浄瑠璃などでこの話が広く知られるようになって、よけいに名所が増えたのかも。このへんは、各地の町おこし・村おこしに大いに貢献したと言えるでしょう。虎女が化粧をした井戸とか、五郎の足跡が残る石とか、十郎がふんずけたら泉が湧いたとか、伝説特有の「ゆかりの地」はあちこちにあり、大阪の堺では虎女が盗賊に襲われ、それを1匹の黒狐が助けたという話も伝わっています。その狐は十郎が生前、猟師に追われているのを助けた狐で、その恩を感じて影のように付き添い、虎女を護っていたというのです。