メディカル最前線vol.63〝合併症〟を早期発見、悪化を予防 メディカル最前線 2024.2.20 やーさん 【糖尿病外来】糖尿病教室を4月から再開! 現代の〝国民病〟といわれるほど増加傾向にある糖尿病。自覚症状が現れにくく、進行すると合併症を招くなど命にかかわる怖い病気だ。〝早期発見・早期治療で健康寿命を延ばそう〟と、糖尿病ケアチームが一丸となって患者のサポートに当たっている西の京病院「糖尿病外来」で、専門医の石塚健医師と藤村真輝医師に話をうかがった。 糖尿病内科部長 石塚 健 医師/ISHIZUKA KEN 先生の健康法 電車通勤の前後、往復80分を徒歩で。更に他科でも入院中の患者さんの血糖管理のため院内各棟を歩き回っています(笑)。 ■糖尿病とその症状 糖尿病は、インスリン(膵すい臓から分泌されるホルモン)の分泌量低下やその作用が低下し、血液中のブドウ糖が増えてしまう病気。これを高血糖といい、この状態の慢性的なものが糖尿病だ。左記のような症状があったら要注意! ■糖尿病の種類 圧倒的に多い2型糖尿病 ●2型糖尿病・・・ 糖尿病患者の95%を占めるのが2型糖尿病。40代以上に多いが、若年発症も増加している。遺伝的なものや食べ過ぎ・運動不足などの生活習慣の乱れが原因で発症する。 ●1型糖尿病・・・ 膵臓のインスリンを分泌する細胞(=β細胞)が壊されることで発症。 ●妊娠糖尿病、その他 ■検査方法と診断基準 血糖値とHbA1c(へモグロビン数値)の測定で診断。 ●HbA1c・・・ 過去1〜2か月の平均的な血糖値がわかる検査で6.5%以上は糖尿病型。 HbA1cと血糖値共に糖尿病型を示すと「糖尿病」。血糖値のみの糖尿型でも口渇や多尿、網膜症が認められる場合も糖尿病と診断される。 ■治療 糖尿病のコントロール 主治医はあなた自身! 血糖コントロールの基本は、食事と運動。生活習慣を見直し、必要な量をバランスよく食べることと、無理なく楽しめる運動(食後がベター)の継続がカギだ。 Doctor's comment 1に食事、2に運動で、医者はその手伝い程度。自己管理が大切な病気です。 ■怖いのは合併症とがんリスク 合併症の有無・程度の総合検査を! 初期の糖尿病は自覚症状が現れにくく、神経障害、網膜症、腎症や心筋梗塞など、知らないうちに忍び寄る合併症が怖い。「また糖尿病があると、膵臓、肝臓、大腸のがんリスクが上昇すると言われています。定期健診で〝要再検査・要受診〟だと、症状がなくても合併症の検査を」と先生。 合併症予防のための目標はHbA1c7.0%未満 ■教育入院や糖尿病教室で糖尿病克服! 同院では「教育入院」(原則2週間)で、糖尿病治療の生活習慣を身に着けるサポートのほか、コロナ禍で休止していた「糖尿病教室」を再開し、糖尿病に対する理解を促す。 専門医を中心に糖尿病ケアチームが治療をサポート! 糖尿病ケアチーム(医師・看護師・栄養管理士・薬剤師・理学療法士・臨床検査技師・放射線技師など多職種)が連携を取り、糖尿病合併症の有無や程度を調べる詳細な診察・検査・指導を行い、治療方針の見直し等に役立てている。 奈良県糖尿病診療ネットワーク専門医協議会に参加、地域の糖尿病診療(治療方針や合併症検査)をサポート中。 藤村 真輝 医師/FUJIMURA MASAKI 先生の健康法 週2回スポーツジムに通っていますし、病院では階段を使います。 ■問い合わせ/患者支援センター TEL.0742-35-2219 ■取材協力/医療法人康仁会 西の京病院 奈良市六条町102-1/ https://www.nishinokyo.or.jp/