第10回山寺おしょうのお悩み相談|孫が苦労を嫌います

【お悩み】孫が苦労を嫌います

20歳の孫のことで相談します。とにかくやる気がない感じで、家でゲームばかりしています。「苦労をしたくない。楽に生きたい」と言います。「根性論を言う時代ではない」とも。私などは苦労しないと壁は乗り越えられないと思う方ですが、今は通じないのでしょうか。それでいいのでしょうか。

(香芝市 梅の木)

早い苦労は人生を楽にします

楽に生きたいなら早めに苦労努力しないとダメなのは、長く生きている人なら皆がわかっていることです。

私はたくさんの方を大峯山に山伏としてお連れします。初めての方に西の覗きというところで、ロープを付けて高いところから逆さまに吊るし、親孝行するか! と言って恐怖体験をしてもらいます。

昨年9月に80歳の会社の社長さんを連れて行った時、西の覗き体験もしていただきました。するとこの苦しい怖い体験をもっと若いときに経験したらもう少し楽な人生を送ることができただろうと後悔されていました。そして、もっと世界中の若い男の子たちにこの経験をしてほしいと言ってました。

やはり早くから努力すること、苦しいことに立ち向かう強さを身につけることが人生を楽に楽しく送る方法だといえます。

しかし経験のない子どもたちにそういっても理解できないのが当たり前です。重要なのは好きなことを一生懸命にできる人間になることです。なんでもいいのです。一生懸命になることが大切です。

その時は両親共に心を鬼にして、独り立ちさせることです。早ければ早いほど成功する人間になります。若い間は体力と生きる強さがあるので苦しいことに耐えられますが、40歳ぐらいを超えるとそれが半減していくので、耐えられずに堕落していきます。
今は親が子離れできず、支援し続けるので、40代でも引きこもりや仕事をしていない人もおられます。それでも親が亡くなると、アルバイトや日雇い労働者になってでも生きていかないといけないので、社会に必要な人になるのだと思います。それもその子の人生と祝福してあげましょう。
親の愛とは、社会に迷惑をかけない人間、強く生きる、生きる楽しさを知る人間を作ることです。つまりいかに周りに必要とされる人間になるかです。内容は何でもいいです。誰に必要と思ってもらってもいいです。人はそのために生きているのです。そのことを教えてあげてください。

後は環境です。旅に出る、好きなことができる場所に行く、医師にしたければ医師に預けろ! というようにその環境に置いてあげることがいいです。

良い人に出会う、一緒に頑張ってくれる人に出会う、思いやりのある人になる。それが大事だと大人があきらめず口うるさく言ってあげる愛が、次の子どもたちを育てていくのです。お釈迦様もそんな言葉をたくさん言ったので、皆から慕われたのです。
回答者

大塚 知明 師

真言宗醍醐派妙法寺(大師山寺)住職
当山派修験大先達
ならどっとFM78.4MHzにて「山寺おしょうのラジオ法話」を放送中!
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