夏から秋にかけ、屋形船にかがり火を灯して行われる幻想的な行事、鵜飼。平安時代からの歴史を持つ。鵜飼といえば岐阜の長良川が有名だが、今、宇治川の鵜飼の新しい取り組み「放ち鵜飼」が注目されている。
鵜飼とは書くまでもないが、飼い慣らした鵜にアユなどを捕らせる伝統的な漁法。その鵜を操る鵜匠だが、宇治川では全国でも珍しく女性鵜匠が3人もいる。その先駆者となった沢木万理子さんに先日お会いした。
沢木さんの鵜匠歴は29年。動物好きなのでその関係の仕事に就きたいと思っていた時、鳥とパートナーになれる鵜匠ってすてきだなと思い、この世界に飛び込んだ。
最初は、家族にも反対され、男性鵜匠らからも「どうせ続かんやろ」と言われていたが、沢木さんの鵜への愛情と頑張る姿を見て、徐々に認められるようになってきた。
ある日、鵜が産んだ卵を見つけ、人工ふ卵器で27日間丁寧に温め、ついにヒナが誕生。国内初の人工ふ化に成功した。そこから30日後には立派に羽ばたくまでに成長、「うみうのウッティー」と名付けられた。
動物は最初に見たものを親だと思う習性で、ウッティーが羽ばたいてもまた沢木さんの元に戻ってくることから、次に思い立ったのが「放ち鵜飼」。鵜に追い綱を付けずに自由に漁に行かせ、呼び戻す手法だ。この幻の「放ち鵜飼」を再現しようとプロジェクトを立ち上げ、5年の末に観光客へもお披露目できるほどになった。沢木さんらと鵜の絶妙なコンビネーションは、親子のような愛情で結ばれているからこその妙技だろう。9月30日まで実施。
問・☎︎0774-23-3353宇治市観光協会
よみっこ編集長 朝廣 佳子