特別展 「大和の美—古都を彩った絵師たちの競演—」
かつては大和と呼ばれた奈良県は、悠久の歴史と自然豊かな風土とが織りなす独特の文化を形成してきました。
古の都、そして社寺王国として歴史の舞台で重要な役割を果たした古代・中世には、信仰を中心とする寺社の文化が育まれ、今日に至るまで奈良の美術を表す特質となっています。
門前町や城下町が栄えた江戸時代には、武家社会の中で多彩な文化活動が展開され、大和独自の美術工芸も発達しました。
また、庶民の行楽の場であった名所旧跡には文人墨客が往来し、美術の格好の題材として取り上げられるようになります。
そして近代に入ると、こうした伝統を受け継ぎながらも、一方では西洋伝来の洋画も流入し、古都・奈良の地は、美術家たちを刺激する無尽の創造源ともなっています。
本展では、中世から現代までの奈良ゆかりの絵画作品を展示し、その流れをたどります。通覧されることの少ない奈良の絵画史を振り返ることで、奈良の美術が持つ魅力や特質を概観すると同時に、知られざる絵師・画家たちの存在に光をあて、多様な側面に目を向ける機会ともなれば幸いです。
