〈奈良市〉奈良時代の美しい建築や仏像も残る「鑑真」ゆかりの世界遺産『唐招提寺』 2023.12.25 鮎 唐の高僧・鑑真大和上が開いた律宗の総本山 南都六宗の一つ・律宗の総本山である唐招提寺は、759年に鑑真和上が新田部親王の旧宅地に戒律を学ぶ道場を開いたことに始まる寺院。創建当初は講堂や経蔵、宝蔵などがあるだけでしたが、弟子の如宝らにより伽藍が整えられました。1998年に「古都奈良の文化財」の一つとして世界遺産にも登録されています。 奈良時代から伝わる美術・建築の宝庫 緑深い境内には天平建築の代表とされる金堂[国宝]をはじめ、平城宮東朝集殿を移築改造した講堂[国宝]や奈良時代の校倉である宝蔵・経蔵[ともに国宝]、東山魁夷の障壁画でも有名な御影堂[重文]など歴史的に重要な建築が数多く残されています。仏像も金堂に安置される本尊・盧舎那仏坐像[奈良時代/国宝]、薬師如来立像[平安時代/国宝]、千手観音立像[奈良時代/国宝]や御影堂の鑑真和上坐像[奈良時代/国宝]など多くの国宝、重要文化財を所蔵しています。 鑑真の眠る「開山御廟」に広がる苔の絨毯も見どころ 境内北東の奥まった静かな場所にある開山御廟は鑑真和上の墓所。墓前へと向かう参道には青々とした苔の絨毯が広がり、雨露が輝く露の時期は特に美しい景色となります。また御廟前には、和上の故郷・揚州(中国)から贈られた瓊花(けいか)が植えられ、初夏に可憐な花を咲かせます。 開山・中興の祖にちなんだ行事が有名 行事では、鎌倉時代に唐招提寺を再興した中興の祖・大悲菩薩覚盛上人の祥月命日の5月19日に行われる「中興忌梵網会」と「うちわまき」、鑑真和上の命日(6月6日)にちなんで6月5日・6日に行われる「開山忌舎利会」が特に有名です。また開山忌では鑑真和上を偲び、和上の命日の前後数日の間、御影堂に安置される鑑真和上坐像の特別開扉も行われます。例年6月5日~7日の3日間での公開ですが、年によっては変更されることもあります。