11月23日[土]

〈奈良市〉天平文化を今に伝える約9000の宝物群!『第75回 正倉院展』注目の出陳宝物を紹介♪

第75回 正倉院展

令和5年10月28日(土)~11月13日(月)
全17日間、会期中無休  

756年、聖武天皇の七七忌(四十九日)に際して光明皇后が天皇の遺愛品を大仏に献納したことに始まり、東大寺の重要な資財を保管する正倉院正倉に伝来した正倉院宝物。

その数は約9,000点にものぼり、その内の約60点が毎年秋の点検時期に合わせ『正倉院展』として、奈良国立博物館にて一般公開されています。

1946年に始まり、本年で75回目の開催となる今回は59件の宝物が出陳、うち6件が初出陳となります。中には一生に二度見られるか分からない至宝もあるかも?

『国家珍宝帳』に表れる聖武天皇ゆかりの品々

聖武天皇の遺愛品は献納時に作成されたリスト『国家珍宝帳』に記載されました。「九条刺納樹皮色袈裟(くじょうしのうじゅひしょくのけさ)はその筆頭に記載される品で、仏教を篤く信奉した聖武天皇を象徴する、天平期における国家最高といえる宝物です。

北倉 九条刺納樹皮色袈裟

こちらも『国家珍宝帳』に記載される「鳥草夾纈屛風(とりくさきょうけちのびょうぶ)」。今回はそのうちの第3扇と第4扇が出陳。二つ折りの裂地を板じめ技法で染め上げた左右対称の図様を表す屏風は、中国・盛唐期に流行した花鳥画屏風の姿を伝える貴重な品となっています。

北倉 鳥草夾纈屏風第3扇
北倉 鳥草夾纈屏風第4扇

きらびやかな装飾が美しい!異国情緒あふれる品

正倉院には、奈良時代に宮廷や寺院内で使われた楽器や調度品、貴人たちのアクセサリーなども伝わっています。「平螺鈿背円鏡(へいらでんはいのえんきょう)は唐(中国)製と推定される大型の銅鏡で、正倉院に伝わる螺鈿飾りの鏡の中でもデザイン性の高い優品。

ヤコウガイと琥珀で花文様を表し、地の部分には細かく砕いたトルコ石を散りばめるなど、各地の珍しい材を用い、高度な技術を尽くして仕上げられた豪華な鏡は歴史上最高峰とも。

南倉 平螺鈿背円鏡

「楓蘇芳染螺鈿槽琵琶(かえですおうぞめらでんのそうのびわ)は蘇芳色に染めたカエデ材に貝や玳瑁をはめ込んだきらびやかな槽(背面)が目を引きますが、撥受けに描かれた盛唐期の画風に基づく山水画も見どころ。奈良時代の異国趣味がうかがえますね。

南倉 楓蘇芳染螺鈿槽琵琶
背面

大寺院を飾った多彩多様な仏具類も必見

東大寺などの大寺院を飾った仏具類にも注目! 「碧地金銀絵箱(へきじきんぎんえのはこ)のような鮮やかな色彩の品から、「刻彫梧桐金銀絵花形合子(こくちょうごとうきんぎんえのはながたごうす)のように花葉の生き生きとした彫刻品まで、多様な装飾表現がうかがえます。

中倉 碧地金銀絵箱
南倉 刻彫梧桐金銀絵花形合子

スッポンの形をした「青斑石鼈合子(せいはんせきのべつごうす)は道教思想に基づく仙薬の容器ともいわれる品。写実的で動物彫刻としても優れています。八稜形の皿はスッポンの腹の部分に収まるようになっています。

中倉 青斑石鼈合子

1250年御遠忌を迎える初代別当・良弁ゆかりの品も

東大寺初代別当・良弁(ろうべん)の1250年御遠忌にあたる本年は、良弁が自ら署名した「少僧都良弁牒(しょうそうずろうべんちょう)を含む『正倉院古文書正集 第七巻』も出陳。中には第48代称徳天皇に重用され法王に上りつめた道鏡自筆の文書もありますよ!

中倉 正倉院古文書正集 第七巻〔少僧都良弁牒、法師道鏡牒ほか〕

復元研究の成果も紹介!

正倉院宝物の中には長い歴史の中で残片となったものも。正倉院事務所ではこうした宝物や文書の復原研究も行っています。

今回出陳する「漆六角厨子残欠(うるしろっかくのずしざんけつ)」「漆六角厨子基趾椊(うるしろっかくのずしのきしほぞ)は、最新の研究によってパーツの特定が試みられ、長六角形の平面を持つ厨子の姿が浮かび上がってきました。例の少ない奈良時代の厨子の形態を知る上で注目を集める品となっています。

初出陳 中倉 漆六角厨子残欠

“シルクロードの終着点”として遠い海の向こうから多くの文物が集まった奈良の都。1300年間守り継がれる至宝の数々を間近に、国際色豊かな文化が花開いた天平の時代に思いをはせてみては?

正倉院とは…

奈良時代の官庁や大寺には、税で徴収された米や布などを納める「正倉」が設けられており、この正倉がいくつも集まった区画を「正倉院」と呼んでいました。

しかし、年月とともに東大寺の正倉院内の正倉一棟を除き、他の正倉院は全てなくなってしまったため、現在「正倉院」といえば、東大寺のこの一棟を指します。

東大寺正倉院正倉

第45代聖武天皇の遺愛品および東大寺の寺宝、文書類などが収蔵され、現在は西宝庫・東宝庫に分け、空調を備えた鉄筋コンクリート造の新宝庫で保管されています。

住所
奈良県奈良市雑司町129
電話番号
0742-26-2811(宮内庁正倉院事務所)
開門時間

月~金曜(祝日・年末年始は除く)の毎日10:00~15:00

※正倉院展期間中は土日祝も公開。10:00~16:00

※公開は正倉「外構」のみ

料金
無料
駐車場
イベント概要 Event Summary
開催日
2023年10月28日(土)〜2023年11月13日(月)
開催時間
8:00~18:00(金・土・日曜、祝日は20:00まで)
※入館は閉館の60分前まで
開催場所
奈良国立博物館 東新館・西新館/奈良県奈良市登大路町50
料金
一般2,000円、高大生1,500円、小中生500円
[レイト割※]一般1,500円、高大生1,000円、小中生無料
※月~木曜は16:00以降、金・土・日曜、祝日は17:00以降の「日時指定券」に適用
お問合せ
050-5542-8600(ハローダイヤル)
【チケット取り扱い】10/5(木)10時~販売開始
■ ローソンチケット[Lコード:59995]https://l-tike.com/75shosoin-ten/
※観覧には原則、事前予約制の「日時指定券」の購入が必要です(無料対象者を除く)。
※日時指定券は当日各時間枠開始時刻まで販売
奈良国立博物館でのチケット販売はありません(売り切れの場合はご了承ください)

奈良国立博物館/ならこくりつはくぶつかん
  • 住所: 奈良市登大路町50番地 奈良公園内
  • 開館時間: 9:30〜17:00(入館は閉館の30分前まで)※時期により異なる場合あり
  • 休館日: 月曜、11/12、12/28~1/1
  • 観覧料: 一般700円、大学生350円、高校生以下無料 ※特別展の観覧料は展覧会ごとに異なる
  • 駐車場: 博物館に専用駐車場はありません(近隣に有料Pあり)
  • TEL: 050-5542-8600(ハローダイヤル)
  • HP: https://www.narahaku.go.jp/

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