〈奈良みやげ〉700年の歴史!日本遺産の伝統工芸『三宝』がめっちゃ多様化してるらしい 2024.7.26 鮎 下市町の名産品『三宝』は南北朝時代に生まれた木の神具 南北朝時代、吉野山に南朝を開いた後醍醐天皇へ献上する品を乗せる台として誕生した神具『三宝』。発祥の地である奈良県下市町では、中世以降、森林資源の市場町として栄え、現在も林業や木工業が盛んに行われています。 約700年の歴史をもち、町の伝統産業でもある三宝ですが、高度経済成長の頃から生活様式の欧化が進むにつれて需要が激減。同町に30軒ほどあった三宝屋も今では4軒になりました。 そんな中、同町で1910年の創業以来三宝づくりを続ける『吉谷木工所』では、“神具”から“新具”へを合言葉に、三宝製作に使われる伝統技術を活用した生活雑貨やアイテムなどを開発・販売しています。 日本遺産にも認定された、スリットが魅力の『挽曲げ技術』 三宝最大の魅力は『挽曲げ』という加工技術。折敷(盆)の縁と胴(台座)に使われる技術で一枚の板を四角く曲げて作られています。 材料には吉野ヒノキが使われます。香りに加え、艶や粘り(折れにくさ)があるのが特徴で、曲げ加工に適した木材なんだとか。また製材時に端材となる背板という部分を使っているので、サステナビリティな製品でもあります。 秋田県の「曲げわっぱ」で知られる木材の曲げ技術と違う点はスリット(溝)。板にスリットを入れて折り目とし、水につけることで曲げています。 スリットの数や厚み、彫る深さなどは各木工所で異なります。この差はスリットを彫る刃を特注していることにもよるそうで、それぞれが企業秘密。まさに心臓なんですね。こうした加工技術は「下市の三宝製作技術」として日本遺産にも認定されています。 用途は無限大?自由に使って楽しむ挽曲げの魅力 “三宝を知らない人が増えてきている中、挽曲げの技術や三宝をもっと身近に感じてほしい” そういう思いから開発された生活雑貨の数々。 スリットで折り目をつける『挽曲げ』だからこそ、四角形だけでなく、八角形や六角形など多角形状に木を曲げたバリエーション豊富な商品が続々と開発されています。 ダイニングトレイ TONGI(トン木)とボックス(八角形) 中でも『八宝 マルチボックス』は「にっぽんの宝物2020-21」全国大会で工芸・雑貨部門のグランプリを受賞するなど、全国各地から注目を集めています。 猫シェルフにまでなっちゃうよ 三宝だって自由に使っていいんだよ 格式高い “神具” というイメージから用途が限られてきた三宝も平たく言えば “お盆” 。木工所6代目の吉谷侑輝さんは、「固定観念を取っ払って、アクセサリーやスマホ、お菓子置きなんかに使ってもいいし、インテリアオブジェとして飾ってもらっても」と話します。 一般的には盛り塩に使われる小さな折敷も、レーザー加工で模様をつけてオシャレな小物入れに。8㎝四方(内辺6㎝)なので、ピアスや指輪など、小さなアクセサリー置きに丁度いいかも。 最近気付いたんですが、折敷と胴をひっくり返せばスマホスタンドにもなりました。私はこれで急なオンライン会議を数度乗り切りました。家に三宝あって良かった~♪ 三宝や挽曲げアイテムは、吉谷木工所で直接買い求めることができるほか、町の複合型商業施設『KITO FOREST MARKET SHIMOICHI』でも購入できるのでお土産にぜひ。 施設内のレストランではデザートのトレイにも三宝の折敷が使用されていますよ! [関連記事] 奈良吉野の伝統工芸「三宝」の技を守り伝える 下市町の三宝の歴史や『挽曲げ技術』と三宝のこれからについて、1910年創業の「吉谷木工所」の6代目、吉谷侑輝さんにお話を伺いました。 詳細を見る≫ [関連記事] 吉野の魅力と繋がる複合施設『KITO FOREST MARKET SHIMOICHI』 そんな三宝&挽曲げ雑貨が買える商業施設『KITO』ってこんなとこやねんで~という記事はコチラ。 詳細を見る≫