〈東吉野村〉清流流れる奈良の山奥に鎮まる“日本最古の水の神”『丹生川上神社中社』 2023.12.6 鮎 1300年前に創建された、朝廷ゆかりの水の神様 丹生川上神社は天武天皇が国を治めていた675年、ご神宣によって創建された神社。平安時代の『延喜式』にも名神大社の一社として名を連ねる古社です。古くから祈雨・止雨の神として信仰され、奈良時代から応仁の乱(1467-1477)の頃までに96回も朝廷による奉幣祈願が行われてきました。 戦国時代以降は神社の所在地が不明になってしまい、明治・大正期の調査によって川上村・下市町・東吉野村の3か所に候補地が挙げられました。現在はそれぞれが上社(川上村)・中社(東吉野村)・下社(下市町)として独立し、三社合わせて『丹生川上神社』として祭祀を行っています。 中社の主祭神は罔象女神(みづはのめのかみ)。イザナミノミコトの尿から生まれた神様で水に関する一切を司ります。「日本最古の水の神」として知られる一方、同じ水を司ることから龍神としても信仰を集めています。 龍神に因んで、龍にまつわる授与品も。見た目もかわいい龍みくじ(300円)はおみくじを引いた後の人形を家に置いておくと、開運招福のご利益を授かれるのだとか! 龍玉に願いを込めて龍神の棲む滝へ 金字で「龍」と書かれた小さな玉。そのままの通り「龍玉」というものですが、こちらは玉に息を3回吹きかけて東の瀧(龍神の瀧)に投げ入れると願いが叶うと言われています。 滝へは一旦神社を出て東へと向かいます。滝の手前にある高見川と四郷川の合流点は「夢淵」と呼ばれ、その昔、神武天皇が大和平定の成功を占ったといわれています。エメラルドグリーンの川面から水の清らかさが伝わってきますね! 高見川に架かる夢橋(赤い吊り橋)を渡って遊歩道を少し歩くと東の瀧(龍神の瀧)に到着。この場所には龍神が棲むとも伝わります。高さはそれほどありませんが、この日は水量も多くゴウゴウと流れ落ちていました。 ちゃんと私も願い事を込めて投げ入れさせていただきました。(投げが優しすぎて手前の岩場に落ちてしまったことは秘密です♡) 摂社『丹生神社』への参拝も忘れずに 神社の川向かいに鎮座する摂社「丹生神社」。本社と同じ彌都波能売神を祀る同社は丹生川上神社の旧社地として「本宮さん」の名で親しまれています。 “本社参らば本宮参れ どちら欠いても片参り”という都々逸があるように、本社(丹生川上神社)と本宮(丹生神社)どちらかだけの参拝は「片参り」になると言い伝えられているので、中社へご参拝の際は丹生神社へのお参りも忘れずに。