メディカル最前線vol.22 西の京病院 循環器内科

【循環器内科 】
日本人の死亡原因第2位の心臓病
生活習慣の改善と早期診断・早期治療を

外来診療・治療からアフターケアまでをフォロー
地域の狭心症・心筋梗塞撲滅を目指す医療チーム

日本人の死亡原因は、第1位のがんに次ぐ第2位が心臓疾患。その約半数が狭心症や心筋梗塞で、発症から短時間で死亡することもある、命にかかわる怖い病気の一つだ。高齢化社会が進み、メタボリックシンドローム患者が増えている昨今、患者数の増加が心配される。その歯止めと予防への警鐘とともに、進歩した治療法と技術で多くの命を救っている西の京病院・循環器内科で話を伺った。

狭心症・心筋梗塞の危険因子は
塩分・糖質・脂肪分過多、喫煙、運動不足にあり

全身に酸素や栄養素を送る血液のポンプ役である心臓を取り囲んでいる冠状動脈。それが硬く狭くなると、胸が締め付けられるような痛みやひどい動悸が症状に現れ、狭心症や心筋梗塞などの心疾患を引き起こす。その原因は、老化のほかに、生活習慣の乱れが大きい。生活習慣病(高血圧・高脂血症・糖尿病)に喫煙・家族歴(遺伝)が影響し、その危険因子は、塩分や糖質、脂肪分の多い食生活、たばこ、運動不足だ。

危険因子

■高血圧…塩分・運動不足・喫煙
■糖尿病…血糖値異常・運動不足
■高脂血症…コレステロール・中性脂肪 (炭水化物・動物性脂肪)・ 喫煙・運動不足
■喫煙

メタボリックシンドローム(メタボ)

内臓脂肪型肥満に、高血糖・高血圧・脂質異常症のうち2つ以上の症状が一度に出ている状態をいい、狭心症や心筋梗塞を起こしやすい。

へそ周りの腹囲
●男性85cm以上
●女性90cm以上

心臓血管カテーテル室を常設

同院では2006年に心臓血管カテーテル室を開設、狭心症や心筋梗塞の疑いがある人の冠状動脈や心臓の状態を細かく調べるカテーテル検査・治療を行っている。虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)が重症化する前に、マルチスライスCTという検査でスクリーニング。冠状動脈の狭窄を初期段階で診断し、早期にカテーテル治療すれば治癒率も高くなる。

マルチスライスCT

64スライスCTを駆使、血管の形や走行、狭いところ、詰まっているところの有無やその程度をチェック。造影剤を投与しながらCTを撮影するだけなので外来・日帰りでできる。

冠状動脈CTは診断の精度が高く見逃しが少ないので、受けなかった人より受けた人のほうが後々お元気です。

自覚症がないからといって病気の程度が軽いということはないらしく、生活習慣病がある人は一度チェックしてもらうのがいいかも。

カテーテル検査と治療

胸を切開することなく、冠状動脈の狭窄や閉塞を治すことができる手術法。細い検査用の管を手首や肘から心臓まで挿入(局所麻酔下)、CTの画像を参考に、透視モニターを見ながら診断し、必要に応じて治療する。

脚の付け根からだと治療後5時間は安静が必要ですが、手首からだと直後から歩行や食事も可能で患者の負担軽減になります。

専門医が周囲の医療スタッフともタッグを組み、一人ひとりの患者さんを診察から治療、リハビリまで総合的に診る医療環境が当院の強みです。

内科部長
福井 寛人 医師
【専門】循環器(心臓) 日本体育協会 スポー ツドクター

全ての生活習慣病の原因に挙げられるのが”運動不足“。予防には有酸素運動が一番で、ウォーキングを勧めます。少し汗ばみ少々肩で息をするぐらいの速さで15分以上30分を毎日。骨粗しょう症の予防にもなりますよ。

医長
辻本 大輔 医師
【専門】循環器内科 日本内科学会認定内科医・総合 内科専門医・日本循環器学会循 環器専門医・日本心血管インター ベーション治療学会専門医 

■問い合わせ/患者支援センター TEL.0742-35-2219
■取材協力/医療法人康仁会 西の京病院 TEL.0742-35-1122(メディカルプラザ薬師西の京事務局)奈良市六条町102-1
https://www.nishinokyo.or.jp/

*yomiっこ2020年2月号に掲載の情報です

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