〈三宅町〉米と靴下の二刀流が生み出した唯一無二の米ぬか繊維/『鈴木靴下』鈴木和夫さん 2024.3.13 鮎 奈良で活躍する“奈良もん” 今回は、靴下メーカー『鈴木靴下』の代表 鈴木和夫さんをご紹介! 株式会社鈴木靴下は三宅町で66年続く靴下工場。米ぬか繊維を使った靴下「歩くぬか袋®」が人気で、昨年工場近くに直営店も開業した注目の企業だ。 鈴木靴下 代表の鈴木和夫さん 同社が誇る「米ぬか繊維」はレーヨン繊維に米ぬかの豊富な成分を練り込んだもの。保湿性が高く、肌触りはしっとり滑らか。加えて生地の抗酸化性や消臭機能もあり、また再生繊維で環境にも優しい機能性素材だ。 「一般的に肌に求められる機能をほぼ持ち合わせており、これ以上の糸はないと思います」。そう語るのは開発者である同社代表の鈴木和夫さん。 米ぬか繊維は兼業で米農家を営む鈴木さんの発想から誕生した。精米の過程で捨ててしまう米ぬかをもったいないと感じていた鈴木さん。米ぬかを木綿袋に入れた「ぬか袋」を石鹸代わりに用いたり、学校の床を磨いたりした幼少期の記憶から、ぬか袋のような靴下があれば足もつるつるになるのでは、と考えたそう。 一方で、日常的に米ぬかに触れたことのない人にはその良さが伝わらず、糸の商社からは相手にされなかったという。 そこで鈴木さんは平成15年から自身で繊維の開発に着手。靴下と米ぬかを鍋に入れて煮ることから始め、米ぬかや皮膚を研究する専門家らの意見も参考に試 作しては、知り合いに配布しアンケートを実施するなど試行錯誤を重ねた。 こうして見えてきた課題を基に紡績会社にかけあい、開発から約3年をかけて繊維の完成に至った。 製品ができてからも自らの足で販路開拓を行ってきた鈴木さん。「素材の開発から製品の販売まで、全てに携わっている人なんてそういないんじゃないかな」と誇らしげに語る。 なぜここまでできたのか。「私は人より努力しないと周りのレベルについていけなかったので、粘り強く頑張ることは得意でした。また誰もやってないことを考えるのが好きだったのでそれも発奮材料だったと思います」 現在は、自身が積み重ねた経験の言語化に努める。鈴木靴下がさらに成長するために属人的にならないシステムを作ることが目的だ。「田舎から都会へ、中小・零細企業から大企業への挑戦だと思って日々進んでいます。 ニーズを求めるのではなくウォンツを引き出すような商品を作っていけたら」と鈴木さん。 [関連記事] 『鈴木靴下』直営店OPEN! 奈良県三宅町にある創業65年の靴下メーカー『鈴木靴下』さん。2023年7月1日に直営ショップをオープンされました... 詳細を見る≫