〈川上村〉十数万本の紙撚が表す“水”のアート 石田智子展「水潺潺」(10/6まで) 2024.9.24 鮎 世界も認める、紙撚(こより)による芸術表現 奈良県川上村の「匠の聚」ギャラリーでは10月6日まで、紙撚による芸術表現を世界に発信する現代美術作家・石田智子さんの作品展「水潺潺(みずせんせん)」を開催しています。 石田智子さんは大阪府の出身。関西を中心に活動した後、1991年、のちに芥川賞作家となる玄侑宗久氏との結婚を機に福島県三春町の福聚寺に拠点を移し、翌1992年頃からお供物の包装紙などから作った紙撚を用いた制作活動を始めました。生み出された作品たちは国内外で数々の賞を受賞しています。 本展は、水源地の村づくり30周年を迎える川上村と「飲水思源」を経営指針をする奈良トヨタグループの共催で、『水』をテーマとしています。 タイトルの「水潺潺」は禅の言葉である『雲悠悠水潺潺』の一部分。高い所から低い所へ、重力に任せて滞ることなく水が流れてゆく様を表す言葉です。 その言葉が表すように、2階から1階へ、渦を描きながら流れゆく様、水が地中へゆっくりと染み広がってゆく様が表現されているような展示となっています。 作品に使われる紙撚は全部で十数万本にもおよび、数本を1組としたシート状のものをガイドに沿って貼り合わせて自由自在に形作っています。 無数の紙撚が作り出す造形は迫力と繊細さ両方を兼ね備えた美しさがあります。紙撚を照らす光が映し出すモザイク状の陰も美しい絵になっているのでご注目ください。 また白一色の紙撚のみで制作され、かつ、大きな作品が2点あるのみという余白が想像をかきたたせてくれるので、じっくり作品やテーマと向き合いながら鑑賞できる空間となっています。 ゆっくり展示を楽しんだ後は、2階のカフェでランチ&カフェタイム。ナポリタンやカレーといった洋食ランチに舌鼓を打ちながら、展示の感想や旅の思い出を語らってみたり。玄侑宗久氏の著書も置いているので、この機会に読書を楽しんでみても良いですね!