2024.6.7 Narakko管理者 「みらいM&A支援事務所」が果たす役割とは M&Aとは会社が合併したり、他の会社を買ったりすること。近年では、企業の事業承継(後継者へのバトンタッチ)の選択肢として、または事業拡大や多角化の手段として、中小・零細企業クラスにとっても身近な存在になっています。 そんな中小企業のM&Aを専門に取り扱う「みらいM&A支援事務所(運営会社:株式会社ユーザーサービス)」が2023年5月にJR奈良駅前に誕生しました。インタビューの後編では、設立までの歩みと同事務所の特長を、分部昇代表に語っていただきました。 JR奈良駅西口から徒歩2分の好立地 始まりは、従業員モチベーション向上の独立支援 当社では、元々自動車部品の販売事業を行ってきましたが、15年ほど前から事業譲渡(のれん分け)も積極的に推進してきました。いわゆる従業員の独立支援制度です。 その背景としては、一つの目標に向かって共に働く=成長していくには、単なる雇う側と雇われる側という関係性ではなく、「いつかは自分も雇う側に」という仕組みを予め用意することで、スタッフのモチベーション向上と将来設計が共に実現できると考えたからです。 いわゆる自己啓発や価値観といった情報も、以前は入手困難でしたが、今はネットで調べれば簡単に手に入る時代。巷にあふれる金言をいくら伝えたところで、従業員の心には真に刺さらない。他人事です。それよりも会社の将来や自分が5年後どうなるのか?の方に興味があります。いかに自分事と思えるか。そして5年後も楽しい未来だと信じて働いてもらえるか、それが大切。 その仕組みを考える中で浮かんだのが、従業員に店舗を譲る「事業譲渡」でした。独立支援制度のアイデアを店長会議で話すと「えっ!? もらえるんですか?」と皆が興味津々。早速、一番古株で技術のある店長からスタート。15年前のことです。以来、6名の従業員が支援制度を受けて独立しました。基本的には一番儲かっている店舗から順番に独立します。だから本人たちも必至。自然とがんばれよと言わなくてもよくなりました。 事業譲渡第1号「オールドギア 奈良橿原店」 独立店舗の経営コンサルタントからM&A業界へ その一方で、譲渡後の当社の収益は、一定期間のロイヤリティーのみとなり、人材・顧客・売上がそっくり失われることに。そこで独立店舗を経営面でサポートしながら、彼らと一緒に成長できる事業にシフトすることにしました。 中小企業の経営診断と助言を行う国家資格「中小企業診断士」を取得して経営コンサルティング業を開始。さらに2012年には「宅地建物取引業者」の免許を取得し、新規出店時の物件探しなど不動産仲介業も担うようになりました。 中小企業診断士として活動する中で、徐々にM&Aに関する相談も受けるように。多くの中小企業の経営者が世代交代期を迎え、円滑な事業承継は喫緊の課題です。高まるニーズに応えようと、当事務所ではM&Aの民間資格である「M&Aシニアエキスパート」のカリキュラムを受講し2019年に取得。2021年9月からは、中小企業庁が行う「M&A支援機関に係る登録制度」にも登録を行い、M&A支援機関として活動してきました。 2023年5月には、より一層M&Aと経営コンサルティング業に注力すべく、現在のJR奈良駅前に本社を移転(奈良市三条本町9番21号 JR奈良伝宝ビル 3F)。一般社団法人M&A仲介協会に正会員(仲介会員)として入会し、M&A仲介のプロフェッショナルとしての矜持で、公正・円滑な取引の促進や中小M&Aガイドラインを含む適正な取引ルールの徹底に努めています。 同事務所の面談フロア <特長1>大手業者が扱わない、中小企業・零細企業のM&Aに特化している 当事務所の強みとしては、何よりも「中小・零細企業のM&Aに特化」しているという点です。M&Aを仲介する業者は、企業情報を持っている銀行や信用金庫、証券会社などがメインですが、一般的な金融機関なら手数料が2千万円以上、つまり数億円クラスの規模でないと動いてくれません。実際に、中小・零細企業の中には、売りたいと思って銀行に相談しても、企業規模が小さすぎて取り扱ってくれない。いわゆるM&A難民も多くいます。 そんな中、我々は大手の金融機関やFA業者が取り扱わない中小・零細企業を専門にしたM&A支援を積極的に行っています。 中にはお断りするケースももちろんありますが、現時点でM&A成立が難しくても可能性の残る企業は、希望を聞いて経営指導を行います。3~5年間ほど伴走して経営改革を行い無駄を省き、筋肉質な状態にすれば5年後には十分売却できるからです。 <特長2>中小企業診断士が担当するので安心安全なM&A 2つ目の特長は、当事務所でM&Aを担当するコンサルタントは中小企業診断士の国家資格を有しているということ。 例えば、自分たちで買い手を探したり、知り合いを通じて紹介してもらったりするなど、個人間の事業譲渡はトラブルがつきもの。適正価格になっていないケースも多く、特に中小零細企業においては顕著です。互いに遺恨を残さない上でも、仲介手数料は発生しますが、私たちのような専門家が間に入ることで、安全に事業譲渡を成立させることが可能です。 また第三者で売るとなった場合、Batonz(バトンズ)のような公開型マッチングサイトの活用となりますが、不安に感じる方には私たちが間に入ってサポートもします。当事務所は、バトンズ利用者(買い手・売り手)が相談できる専門家として「バトンズM&A相談所 奈良市三条本町店」を併設しています。 <コラム> Batonz(バトンズ)とはM&A成約数No.1のオンライン事業承継マッチングサービス。常時23,000件以上のM&A案件をサイト上に公開し、毎月800件以上の新着M&A案件が登録。売り手・買い手ともにサイト利用は無料(成約時、買い手は手数料2%)。当事務所は、バトンズの支援専門家として、M&Aアドバイザーとして買い手・売り手をサポートしている。https://batonz.jp/counters/1057 <特長3>最近増えているBtoCの相談にも柔軟に対応 また、私たちが最近取り扱うのは、BtoBに加えてBtoC案件もあります。例えば、現役サラリーマンがやりたい事業が売りに出されていて購入独立するケース。もしくは定年後の退職金を原資に事業買収して仕事を始める人も。こういったセカンドキャリアの形成、リタイア後の生きがいとしてM&Aを活用する人が、最近増えてきています。 若い人はどんどん稼げるチャンス。全部自分でやらなければならなかったものが、時間・人・技術を、M&Aで買えるので、よりスピーディーに事業を成長させることが可能です。一生同じ会社で勤め上げるという価値観から、公務員や官僚でも5年で辞めるという激動の時代。海外では一般的に転職はキャリアアップ、給料も上がるとされますが、日本は真逆。転職すれば給料は下がる一方。これもやり方次第で、今後は変わっていくと思います。 今後の目標について 事務所を構える奈良県は、歴史の古い企業も多い土地ですが、今の時代、昔に取った杵柄は通用しない。残念ながら歴史だけではブランドになりません。京都でも生き残る和菓子屋さんは古いものはしっかり残しつつ、新しいものを取り入れ、常に改革しています。時流に合わせた変化が大切だと感じています。 将来私たちは、法人個人問わず、事業売買や譲渡のお手伝いを行うのが当たり前の世の中になるのではないかと考えています。来たる時代に備えて、M&Aや事業承継を通じて、目の前の困っておられる中小・零細企業の経営を支援していきたいと思います。 目標は各都道府県に我々の事務所を設け、地元の中小企業に気軽に活用してもらえる存在になればと考えています。 前編を読む みらいM&A支援事務所のホームページへ 取材協力:みらいM&A支援事務所(株式会社ユーザーサービス)