〈奈良の近代建築〉築110年以上で今なお現役!赤レンガのめがね橋 吉野大淀『薬水拱橋』 2023.12.27 鮎 隧道のような意匠が美しいアーチ型鉄道橋 近鉄薬水駅から300mほど南にあるレンガ積みの鉄道橋。近鉄吉野線の前身である吉野鉄道が開業した1912年から今なお現役で線路を支え続けています。2013年には土木学会選奨土木遺産にも選定されています。 「拱橋」とはアーチ型の橋のこと。薬水拱橋は薬水の集落へと向かう道をまたぐアーチと道のすぐ側を流れる薬水川をまたぐアーチが連続しており「めがね橋」の愛称でも親しまれています。 橋の側面を門と捉え、鉄道橋でありながら隧道(トンネル)の意匠を施しているのも特長です。上部の笠石・帯石には歯飾りがあり、また要石を竪積みレンガで構成した構造も珍しい。 西面には「薬水門」と刻まれた扁額も掲げられていますが、時期によってはツタが這って全く見えないこともあります。 隧道(トンネル)各部の名称 内部は剥離箇所や黒ずんだ部分、くすんだ朱のレンガや補強部分が各所にあり、110年以上の歴史をたっぷり感じられる空間です。 西面は壁柱にバットレス(控え壁)を取り付けて補強されていますが、東面は竣工当時の姿を見ることができるのでトンネルを潜って両面の違いも楽しんでみてください。