〈奈良〉お金をかけず知恵と工夫で中小企業を支える『KoCo-Biz(ココビズ)』とは?

「Bizモデル」で中小企業をブレーンとして支える

奈良県大和高田市と広陵町が共同で設立した『KoCo-Biz(ココビズ)』。奈良県で初めて「Bizモデル」を導入したビジネスサポートセンターで、 “お金をかけない” 方法で中小企業を中心とした地域の事業者を支援しています。

「Bizモデル」は静岡銀行出身の中小企業支援家・小出宗昭氏が提唱する中小企業支援モデルで、“お金をかけず”“知識やアイデアを使って”“新たな価値を生み出す”ことをポイントとしています。またこの支援手法を実践する施設は自治体が設置しているのも特長です。

従来の公的産業支援といえば補助金や助成金の申請支援や制度融資の窓口支援など「守りの経営支援」が中心でした。その一方で、事業者側ではいかに売上を上げていくかということに課題の主眼が置かれるようになり、売上アップ支援という「攻めの経営支援」が求められています。

こうした官と民のギャップを解消する存在として「Bizモデル」は存在し、現在では全国に17のBizモデル型サポートセンターが展開しています。

左から野須さん、中嶋さん、小杉さん

KoCo-Bizは2020年12月に設立され、小杉一人さんをセンター長に、広報PR/SNSサポートを担当する中嶋裕美さん、事務局を担当する野須友加さんの3人で運営しています。

中でも小杉さんはプラダグループで営業・販促を担当した後、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループの取締役やソニアリキエルジャポン株式会社の代表取締役を務めるなど約23年間にわたってファッションの世界的企業で事業の創業や再生に関わってきた人物。

靴下をはじめ、繊維業が盛んな広陵町や大和高田市においてアパレル出身の自身の経験が生かせると考え、東京から縁もゆかりもなかった奈良の地へとやってきたそう。

小杉一人センター長

また中嶋さんも、大手セレクトショップにて店長・エリアマネージャー職を8年務めるなどアパレル業界に16年携わってきました。ホームページやSNSの広報はもちろん、アパレルのあらゆる現場業務で培った経験をサポートに生かします。

主にBizモデル事業の内部サポートの役目を担う野須さんは、医療機器の大手商社のセールスプロモーションとして12年勤務しつつ、社内の新人・中堅研修における医療工学の講師を担当してきた経歴を持ちます。

経営と現場、双方のあらゆる分野で実績・キャリア十分な3人による万全の体制でサポートに臨んでいます。

中嶋裕美さん
野須友加さん

相談は無料で、原則として月に1回1時間何度でも受けられます。設立4年目となる現在まで約360社からの相談を受け、約120社のサポートが今も進行中です。企業はもちろん、個人事業主や学生でも相談が可能だそうですよ!

相談場所は広陵町ふるさと会館グリーンパレス大和高田市役所の2拠点を隔週で会場としています。設立当初は広陵町と大和高田市の2市町の事業者のみでしたが、現在は御所市・葛城市・川西町・三宅町の事業者も提携自治体として一定の支援を受けられるようになっています。

Biz事業での支援は売り上げアップや集客、マーケティングなどの課題に対して、改善・解決のためのアイデアやノウハウの提供が主体。支援に対する投資を伴わないため、事業者が負うリスクも少なく、気軽に相談できることが好評だそう。

過去の相談の様子(KoCo-Biz公式インスタグラムより)

数々のプロジェクトの中で特に注目を集めたのが、有名ブランドのOEMを手掛ける縫製工場、株式会社 新田(広陵町)のプロジェクト。

同社が誇る高い縫製技術を生かし、国産繊維を使用した1枚15,000円のTシャツは、クラウドファンディングで100万円以上を売り上げ、地域産業の活性化に貢献するとともに、地域の魅力を発信するきっかけともなりました。

またサービス業に携わる相談者にはSNSを活用した情報発信の強化をサポート。地域の事業者同士のマッチングを促進し、新たなビジネスチャンスの創出を支援しています。

KoCo-Biz公式インスタグラム

「広陵や大和高田の町や事業者さんにはとてもポテンシャルと可能性を感じています。繊維業や農業といった地場産業を中心に町の動きを活発化し奈良をリードする地域を目指して支援を続けていけたら」と小杉さん。

繊維業の一大産地として栄えた広陵、商都と謳われた経済都市・大和高田の復活にBizモデルが起爆剤となるのか。これからも小さな会社の大きなチャレンジを支え続けます。

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