11月24日[日]

【どんなお雑煮食べてる?】お雑煮こそダイバーシティ!奈良の雑煮はきなこでいただく♪

お正月に必ず食べる行事食“お雑煮”

新年を祝う、めでたいお雑煮。おせちと並んでお正月を迎えるのに欠かせないものですね。健やかな一年を迎えることができるようにと願いが込められています。

小さな頃、自分の家のお雑煮が当たり前だと思っていたけれど、

はて?なにやら
他の地域では違うお雑煮らしい…

by なにがし

大人になるにつれて、不思議に思った経験がある方は少なくないと思います。

すまし仕立て
味噌仕立て
塩味仕立て
豆汁仕立て
お餅の形は、丸?それとも四角? え?お餅入れないの!?

今回は、調べてみると意外と奥深いお雑煮の歴史と、「 ちょっと覗いてみたい♪ よそのお宅のお雑煮」 ということで「テレビで話題になった 奈良の アノ  お雑煮 」をお届けします。
ぜひ、ご覧ください♪

なんと!500年以上も歴史があるお雑煮

おすましベースの関東雑煮

そもそも お雑煮っていつの時代から食べられてるの?

by ならきち

それがね、諸説あってはっきりしないみたい
一番古い記述は14世紀、室町時代なんだって

by なにがし

14世紀!
へー!古い料理なんだねぇ!

by ならきち

室町時代において「雑煮」という単語が出てくる文献はいくつかあります。一番古いとされるものは 1364年、宮中の祭祀に関わってきた鈴鹿家(京都吉田神社)の社務書『鈴鹿家記』です。ただし、詳細な記述がないために私たちのイメージする雑煮かどうかはわからないそうな…

次に確認できるのは、1497年『山内料理書』 で、武士たちの酒宴での 酒の肴 として食していたと紹介されています。この頃は武家が有力でしたので、宮中の儀礼食だったものが武家社会にも広まったのかもしれませんね。

それから、1503年、公家 山科言継の日記である『言継卿記(ときつぐきょうき)』に、「雑煮(ザウニ)とは、正月に出される餅と野菜で作った一種の煮物」。また、1603年に編纂された日葡辞書(にっぽじしょ)には「天文三年(1534年)正月一日……雑煮祝例年の如くこれ有り」と書かれています。

これこれ、現代の雑煮とピタリとイメージが重なります。

雑煮は、1500年頃に元日の行事として定着していったようです。

多様化がとまらないお雑煮

あずきベース

ならきち
お雑煮に本名があるって知ってた?

by なにがし

え?本名なんてあるの?

by ならきち

たくさんの具を入れて内臓を健康に保つことから、正式名称は「亨雑(ほうぞう)」または「 保臓(ほうぞう)」って言うらしいよ!

by なにがし

なる

ほぉーぞぉー!

by ならきち

当時、歳神様や精霊がこもった農作物である餅、野菜などを使って調理し、温かい汁とともに食すことで五臓六腑を健康に保つと考えられていたようです。

宮中の催事に使われていた神聖なお餅は、三種の神器 八咫鏡にあやかって、丸型を模していました。諸説ありますが、徳川家は宮廷とは違う文化を餅に込めて、江戸では四角の餅を用いたと言われています。

東は角餅、西は丸餅。実際、お餅の形は岐阜県の「関ヶ原」を境目にして角餅と丸餅とわかれているというのがなんとも興味深いところですね。

さて、そんな雑煮、江戸時代になると参勤交代を機に、大都会 花のお江戸の おすましベース雑煮が全国に伝播していきます。

東京でタピオカが流行ったら、全国のJKがタピオカ食べ出すみたいなものでしょうか

by なにがし

そ….そーかな….?

by ならきち

全国に広まったお雑煮文化は、その土地で収穫できる特産物や農作物を使い、お国柄あふれる雑煮に変化していきました。

中国地方の一部地域では、豆汁+おだしで、ぜんざいのような見た目の「小豆雑煮」が食べられているとか。これは中国大陸からの影響とされています。また、正月から縁起物のお餅を食べるのは逆に縁起が良くない!と餅なし雑煮の地域もあります。

多種多様に発展していく雑煮。日本も広いですね!

意外とびっくりされる奈良のきなこ雑煮

白味噌ベース

奈良公園に住む ならきちが思うお雑煮ってどんなの?

by なにがし

えーと、白い味噌の お雑煮かなぁ
お餅がはいってるの♪

by ならきち

うん。それをどうするの?

by なにがし

んで、お餅を取り出して、別皿の きなこにつけて食べる!(うまっ)

by ならきち

それ、他の地域に持って行ったら、めっちゃびっくりされるよ?

by なにがし

え??

by ならきち

参勤交代がなかった京都や大阪のお雑煮は、味噌味のままでした。
そして、丸餅に味噌味の雑煮文化の中でも、奈良のお雑煮は丸餅を焼いて汁の中に入れて、再び椀から取り出し、きなこをつけて食べる、という特色があります。

一見すると、餅が入っている白いお味噌汁というような風情。その後ろに、きなこが控えていますが、不思議な感じはしませんよね。

椀のなかには焼いた丸餅と里芋、大根、豆腐を入れて、白一色にする家庭と、人参を入れて紅白にする家庭があるようです。

独特だと言われるのは餅の食べ方。雑煮椀から取り出し、きな粉をまぶしていただきます。

きなこの原材料である豆は、「魔(ま)を滅(めっ)す」とも言われ、その色は米の豊作や子孫繁栄をねがった名残ではないかと言われています。

人の上に立てるようにと頭芋(かしらいも)はできるだけ大きく、豆腐は白壁をコンニャクは土蔵をイメージし大きく蔵が立つように四角に切り、大根や人参は丸く切って家庭円満の思いをこめています。

お雑煮を紐解くとおもしろいね!!
せっくだからさ、Narakko!編集部のみんなのお雑煮を見てみたくない?

by なにがし

え?興味あるある!

by ならきち

同じ奈良県内でも、ちょっと地域がずれるとまた違うかもね!

興味ありあり!

by なにがし

気になる!編集部員の雑煮を拝見!

家庭料理のおもしろさは、家と家の結びつきによって、少しづつ進化を遂げていきオンリーワンになっていくところ。

同じ奈良県でも、比較するとまったく作り方が異なるので、ここでは編集部員宅のお雑煮を参考に紹介させていただきます。

やーさん家のお雑煮

奈良に嫁ぎましたが、舅姑は、奈良県人ではなく、おすまし仕立て
水菜、椎茸、紅白の小袖蒲鉾、和風出汁にコク出しのためか鶏も入れます♪

お餅は角餅の焼きでしたが、私が皆まぁるくと丸餅に替えさせてもらいました。

by やーさん

家庭によって、お餅を焼くか、そのまま入れるか、興味深いところ♪

by なにがし

にっしー家のお雑煮

播州赤穂出身の母親のお雑煮を参考におすましベースで調理しました。ニンジンの飾り切りは、私の完全オリジナルです。

by にっしー

新婚のにっしー宅は、今年は旦那さん作!
年を重ねるごとに奥さんの家庭の味と少しづつ融合してくるのかな♪

by なにがし

のび家のお雑煮

いつもは人参や大根を入れますが、今回はシンプルに焼いた餅のみです。
これも結構おいしい。

by のび

味噌に浸ったおもちを甘いきなこで食べるというシンプルにいちばん美味しさを味わえる!

by なにがし

編集長家のお雑煮

元旦は奈良のきなこ雑煮。
2日目は、うちの田舎の瀬戸内雑煮です♪
穴子と牡蠣、ほうれん草、かまぼこ、丸餅は焼きではなく茹でるだけ

今回は入れてないけど。もがいという瀬戸内の貝が入ります♪

by 編集長

穴子が飛び出してる!

by なにがし

……もがい って何?

by ならきち

みょ家のお雑煮

毎年、天理の実家で食べる白味噌雑煮できなこ付
焼き豆腐にするのが地味に好き〜❤︎

by みょ

焼き豆腐!
そのパターンは今までなかった!

by なにがし

鮎家のお雑煮

うちは合わせ味噌で白味噌よりは少し濃い味つけになっています。

きなこには砂糖を入れてるので甘辛雑煮ですね!

by 鮎

合わせ味噌もあるのね 〜!

by なにがし

家族の健康と繁栄を願って

近代美術の大家で、美食家でもあった北大路魯山人は随筆 「 雑煮 」 の中で最後をこう締め括っています。

” 要するに、雑煮は有り合わせで見繕って出せばいいのだ、ということを会得していただければ結構なのである “

料亭でも、家庭でも、型にはまらず、趣向を凝らした雑煮が美味しいのだ、と。

少しづつ形を変えて引き継がれていきながらも、家族の健康と繁栄を願って紡がれていくお雑煮。地方や家庭での違いはあれど、日本人の風習や文化に込められた多種多様な暮らしの姿が見えてきます。

来年は、我が家のお雑煮を見直してみると面白いかもしれませんね。

皆様のふるさとのお雑煮は、どんな味付けでしょうか?

これから100年後の人は、どんなお雑煮を食べているかを想像するとワクワクしますね!

by なにがし