令和6年度 秋季特別展
「甲冑―古墳時代の武威と技術―」
国家形成期にあたる古墳時代には、ヤマト王権により列島各地の政治的な統合が進められます。「昔より祖禰躬ら甲冑を擐き、山川を跋渉して寧処に遑あらず。…」と『宋書』倭国伝に記された倭王武の上表分は、誇張があるにせよ、統合に軍事が重要な役割を果たしたことを示します。こうしたなか、鉄製の武器・武具は飛躍的な発展を遂げていきます。甲冑はその代表例です。
人体に合わせるため複雑な立体構造をもつ甲冑の製作には渡来技術を含む高度な技術が要求され、大量の鉄素材も必要とすることから、その生産はヤマト王権の下、一元的におこなわれたと考えられてきました。甲冑は戦闘の道具ですが、同時に、それを所持する、また墓に副葬された人物の社会階層を示す威信財的な側面も有しています。
本展覧会では、古墳時代の甲冑について、大和の出土品とともに、各地の良好な出土例を多数展示し、その変遷を通観するとともに、これを巡る様々な問題に迫ります。