備えあれば、憂いなし! 令和の供養考 ―お墓編―

 インターネットでモノが大量に消費される時代。核家族化が進み、SNSやスマホといったコミュニケーションも変化し、ご近所づきあいも昔に比べずいぶん薄くなった。終活においても、合理化・簡素化の波が押し寄せている。平成から令和へと新時代を迎えた今、日本人の供養のこれからを考えてみた。

【質問】
最近、「お墓に通えなくなった」「夫の先祖墓に一緒に入れない」「独り身なので永代供養墓を」など、お悩みの方が増えています。どうしたらよいでしょうか?

 

【回答】
お墓のあり方は、人それぞれ。ベストな形を考えてみよう

お墓って何だろう

 お墓とは、大切にしている故人・先祖が眠る場所。わざわざその場所に赴くという行為により、日常世界から離れ、より彼らのことを強くイメージすることができる。心静かに当時を偲び対話できる、オンリーワンな空間だろう。

墓じまい・改葬が社会現象に…

「墓じまい・墓の引っ越しについての問い合わせが年々増えていますね」と語るのは、お墓のサポートセンターの池渕泰正さん。事実、厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、改葬件数は2017年度に10万件を突破し、今や墓じまいは社会現象に。高齢で通えなくなった、転勤・転居したなど事情は様々だが、お墓と家との物理的距離が遠くなったことが最大の原因だ。なお、墓の引っ越しを行う場合は、移転先が決まっていないと改葬許可証がお発行されない自治体もあるので注意が必要だ。

永代供養墓が増えている…

 また、独り身や子孫に迷惑をかけたくない夫婦を中心に近年増えているのが、永代供養墓。寺や霊園に費用を一括前納することで、後継ぎがいなくても永代にわたり供養してくれる墓だ。無縁墓にはならないが、一定期間が過ぎると、最終的には供養塔などに合祀されることが多い。いったん合祀されると、分骨・改葬はできないので、契約時には確認を。

両家墓、墓友なども登場

「○○家の墓という先祖代々の墓でないといけない、苗字が違うと入れない(※)と考える人がいるが、そうじゃない。最近では『ありがとう』『慈愛』など家名でない言葉を刻む墓標も増えています」と語るのは、奈良中央墓園の辰巳亮介さん。都心を中心に、2つの家を1つの墓に合祀した「両家墓」や、親しい知人同士で費用を出し合って同じ墓に入る「墓友」も登場しているという。

(※)墓地にもよるが、一般的には6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族が入れる。

お墓のあり方も、時代とともに変化している。今の自分にとって、故人と繋がれる場所・形はなんだろう? 考えてみよう。

【出典】奈良の月刊情報誌「yomiっこ」2019年11月号を改編

永代供養を取り扱う施設

お墓のサポートセンター
光明山阿弥陀寺(みねのてら)
奈良中央墓園