〈葛城市〉密かに「鬼滅の刃」ファンも集う奈良の古社。火と音の神様を祀る『葛木坐火雷神社』 2023.9.29 鮎 火の神と音の神を祀る古社 奈良県葛城市に鎮座する葛木坐火雷神社は旧忍海郡14か村の総鎮守社。神代や神武天皇の時代の創建と伝えられますが、詳らかではありません。主祭神は火雷大神(葛木坐火雷神社)・天香山命(笛吹神社)の2座となっています。 火雷大神は火の神であることから火を扱う職業や消防関係者が、天香山命は「笛吹」の祭神であることから、笛やフルートなど楽器の上達を祈願する参拝者から崇敬を集めています。 古墳時代から続く!? “笛吹連” とは 同社は天香山命の子孫である笛吹連が代々祭祀を受け継ぎ、現在宮司を勤める持田家もその一族の流れをくむと言われています。笛吹連は櫂子(かじし)という人物が崇神天皇10年に、天皇から天磐笛を賜り笛吹連の名を命じたことに始まると伝わり、一族が住んだ神社周辺の地域は笛吹と字名が付けられています。 また神社周辺には笛吹古墳群があり、本殿横の笛吹神社古墳は櫂子の父の墓と考えられています。玄室にはしめ縄を張って祀られており、宮司以外の立ち入りを禁じています。 笛吹神社古墳 境内に巨大な大砲 神社でひと際目を引くのが巨大な大砲。これはロシア製の加農攻守城砲(キャノン砲)で、日露戦争(1904~1905)の戦勝品として奉納されたものです。全国各地の神社などにもこうした奉納兵器がありましたが、太平洋戦争で大半のものが供出されているので、この大砲のように大型のものが残っているのはとても貴重です。 宮司さんいわく、神社が鉄道駅(現在の近鉄忍海駅やJR御所駅)から遠い場所にあり、また重い大砲を搬出できる若い男性が徴兵によって不足していたから断念せざるを得なかったのでしょうとのこと。 露国製加農攻守城砲 『鬼滅の刃』ファンも参拝 数年前からはアニメや漫画で人気の『鬼滅の刃』ファンの参拝者も増加。祭神『火雷大神』の名前が作中に登場する我妻善逸の技「火雷神」に似ていることや、火の神=ヒノカミ神楽・炎柱、音の神=音柱といった連想からだそう。 お願い事とともにファンアートが描かれた絵馬がいっぱいあるんですがどれも上手すぎる…! また鳥居前の社号標前で「火雷神」の文字と一緒に奥義を発動する感じの写真を撮って楽しむ人もいますよ♪