〈名張市〉オンリーワンの水族館を目指し赤目を盛り上げる若き館長/赤目滝水族館 朝田光祐さん 2025.3.25 鮎 伊賀・名張エリアで活躍する“伊賀もん” 今回は、赤目滝水族館の館長・朝田光祐さんをご紹介! 室生赤目青山国定公園の中央に位置する景勝地・赤目四十八滝。渓谷の入り口に建つ「日本サンショウウオセンター」は昨年4月「赤目滝水族館」にリニューアル。館長には当時22歳の朝田光祐さんが就任した。 大阪府東大阪市出身の朝田さんは、ニュージーランドへの留学を経て、もともと芸能活動をしていたが、新型コロナによる行動制限下でふと生物好きが開花。 19歳の時に動物飼育の専門学校に入学し、そこでサンショウウオを研究する講師と出会い、各地の調査へ同行することに。後に恩師を通じた誘いから、赤目を初めて訪れた。 オオサンショウウオ(国特別天然記念物)。固有種が絶滅危機に! 赤目では美しい自然環境に魅せられた。一方で観光客が少ない印象も持った。「魅力があるのにもったいない。やり方次第でもっと人が来るようになる」と感じた朝田さんは、2023年に飼育員として入社。名張市のアドバイザーで水族館プロデューサーの中村元さんに助言をもらいながら、同センターの水族館化を目指すことにした。 資金に恵まれない中、同センターの改装は、渓谷の保勝会をはじめ、多くの有志の協力で進められ、壁や展示装飾はDIYで制作するなどで老朽化した設備の更新を図った。これまでサンショウウオだけだった展示も赤目に生息する魚類や両生類、コケ類など多種多様な生き物を加えた。見せ方にも趣向を凝らし、奥に続く渓谷と合わせて学び楽しめる空間に変えた。グッズも新たに制作した。 館のアイドル・タウナギ。習性を生かして人気のチンアナゴ風に展示。 その成果もあり、年々減少していた訪問者数は復調の兆しを見せ、本年2月現在で年間10万人を達成している。周辺地域にも好影響をもたらし、地域全体で渓谷を盛り上げようという機運が生まれてきているという。 「自分がやりたいと思って始めたことが、地域のためになっているのはうれしい」と朝田さん。今後は「2階部分の改装に着手して、より満足感のあるものにしたい。美しい渓谷とセットで楽しめるという強みを生かし、自然と一体感のある唯一無二の水族館を目指したい」と語った。