業平生誕1200年記念 不退寺で特別御朱印授与中
とき:~2025年12月

春期寺宝特別展も開催
とき:2025年3月1日(土)~5月31日(土)

平安時代の歌人で伊勢物語の主人公・在原業平ゆかりの寺

平安時代の歌人で伊勢物語の主人公・在原業平(825~880)ゆかりの寺、不退寺(奈良市法蓮町)。正式名称は金龍山 不退転法輪寺です。 業平は第51代・平城天皇の孫にあたり、天皇の第1皇子 阿保親王の第5子です。平安京への遷都後、平城天皇は、上皇として都を再び平城京に戻そうとを画策したものの不成功に終わり、都を逃れてこの地に隠棲したとされます。
上皇崩御後は、阿保親王と業平が後を引き縦いで、承和14年(847)に業平自らが聖観音菩薩立像を刻んで開基したのが同寺の始まりとされます。それゆえ「業平寺(なりひらでら)」とも呼称されています。

和歌に優れた歌人であり、美男で恋多き男性

業平は、歌才に秀で、『古今和歌集』や『勅撰和歌集』などに多くの和歌が収録され、六歌仙・三十六歌仙に数えられています。 天皇家の地を引く高貴な生まれながら政治的には不遇な生涯でした。その代わり美男で恋多き男性だったことは、『伊勢物語』からも読み取れますね。

鮮やかな彩色残るご本尊のほか、南門・本堂・多宝塔は重文 

不退寺の南門(重文)は鎌倉時代の本瓦葺切妻造四脚門で、本堂や多宝塔も重要文化財に指定されています。本堂に安置されているご本尊の聖観音菩薩立像(重文/藤原時代)は、業平の作と伝えられ「業平観音」とも呼ばれます。一木造彩色の像で、極彩色文様の一部は現在も残り、当時のあでやかさを偲ばせます。
多宝塔(重文)は、同寺最古の建造物で、快慶作の千体地蔵は安置されていたと伝わります。              

境内には業平の歌の石碑や謎の石棺も        

「世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし」
「ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」
境内には業平が詠んだ歌の石碑が随所に建っています。またウワナベ古墳南側の平塚古墳から発掘されたという舟型の石棺もあります。端のくぼみは、後世の農民が鎌を研いだのではと思われます。

和紙の特別御朱印で文化財維持修理       

業平生誕1200年記念の特別御朱印は、宇陀市の施設で特別に漉いた和紙で、A5版サイズの優しい肌触り。右半分には宮中歌会の場面で、巻紙と筆を手に思案の表情の業平画像の絵。奈良出身の漫画家、イラストレーターの西村友宏氏によるものだそうです。そして、左半分に不退寺の特別朱印を押したものです。
1朱印に付き1,000円の授与料は、同寺の文化財維持修理に充当されます。厳かで優美な平安貴族の香りを感じてもらいたい2025年限定御朱印です。
なおこの御朱印は、天理市櫟本町の在原神社でも授与されます。
例祭の4月26日から29日まで、近くの会館で御神像の展示とともに御朱印授与が行われます。

春はレンギョウ、椿、秋は紅葉など花の寺。

不退寺は知る人ぞ知る花の寺です。特に春のレンギョウ、椿と秋の紅葉は見逃せません。4月初旬、葉が肉厚のぽってりした花をつける「業平椿」も見逃せません。さらに春の花レンギョウ、4月下旬からひと月ぐらいは黄菖蒲がきれいで、5月上旬〜中旬が見頃のようです。※花期は気候により前後します

春期寺宝特別展2025年3月1日(土)~5月31日(土)
多宝塔特別公開は5月28日(業平忌)

3月1日から春期寺宝特別展が開催されます(~5月31日)。春風に誘われ、不退寺を起点にウワナベ・コナベ古墳~磐之媛命陵~海龍王寺~法華寺と、佐保・佐紀路の散策がお薦めです。海龍王寺や法華寺でも春の寺宝展が行われます。
基本情報 Basic Information
金龍山 不退寺/きんりゅうさん ふたいじ
  • 住所: 奈良市法蓮町517
  • 拝観時間: 9:00~17:00(受付16:50頃)
  • 拝観料: 大人500円、中高生300円、小学生200円
    ※特別展時は100UP、業平忌時は大人・中高生200UP、小学生100UP
  • アクセス: JR・近鉄奈良駅からバス「不退寺口」下車、徒歩5分
  • 駐車場: あり(山門前/8台)
  • TEL: 080-8943-1201(不退寺)
  • HP: http://www3.kcn.ne.jp/~futaiji/
  • SNS:

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